多発性骨髄腫に対するダラザレックス+ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法、無増悪生存期間を有意に改善The New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2023.12.26
  • [最終更新日]2023.12.22
この記事の3つのポイント
多発性骨髄腫と診断された移植適格症例が対象のPERSEUS試験
・抗CD38モノクローナル抗体ダラザレックス+ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン有効性安全性を比較検証
化学療法単独群に比べ、無増悪生存期間を有意に延長

2023年12月12日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて多発性骨髄腫である移植適格症例に対する抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブ(製品名:ダラザレックス)+ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(D-VRd)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のPERSEUS試験(NCT03710603)の結果がPieter Sonneveld氏らにより公表された。

PERSEUS試験は、多発性骨髄腫と診断された移植適格症例に対するD-VRd併用療法を投与し、維持療法としてレナリドミド単剤を投与する群、もしくはボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(VRd)併用療法を実施し、維持療法としてレナリドミド単剤を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として完全奏効率、微小残存病変MRD)陰性率を検証した第3相試験である。

本試験の追跡期間中央値47.5ヶ月時点における結果、48ヶ月PFSはD-VRd併用群の84.3%に対して、VRd併用群で67.7%と、D-VRd併用群で病勢進行または死亡のリスクが58%(HR:0.42,95%信頼区間:0.30-0.59,P<0.001)改善した。

副次評価項目である完全奏効率は、D-VRd併用群の87.9%に対してVRd併用群で70.1%(P<0.001)、MRD陰性率はD-VRd併用群の75.2%に対してVRd併用群で47.5%(P<0.001)を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3もしくは4の有害事象(AE)の割合は、好中球減少症がD-VRd併用群の62.1%に対してVRd併用群で51.0%、また血小板減少症がD-VRd併用群の29.1%に対してVRd併用群で17.3%にそれぞれ認められた。また重篤な有害事象(SAE)発症率は、D-VRd併用群の57.0%に対してVRd併用群で49.3%をそれぞれ示した。

以上のPERSEUS試験の結果よりPieter Sonneveld氏らは「移植適格の多発性骨髄腫患者に対する抗CD38モノクローナル抗体ダラザレックス+ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法は、ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法に比べてPFSを統計学的有意に改善しました」と結論付けている。

参照元:
Daratumumab, Bortezomib, Lenalidomide, and Dexamethasone for Multiple Myeloma (N Engl J Med 2023;DOI: 10.1056/NEJMoa2312054)

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