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選択的経口PIM1キナーゼ阻害剤TP-3654、骨髄線維症が対象のI/II相試験で有望なデータを示す

[公開日] 2023.12.14[最終更新日] 2023.12.14

2022年12月9日~12日に米サンディエゴにて、米国血液学会が開催され、Session 634「Myeloproliferative Syndromes」の中で、再発/難治性骨髄線維症を対象とした治験薬TP-3654の第1/2相試験のデータが発表された。 骨髄線維症(MF)は、骨髄の線維化、造血不全、脾臓の腫大などさまざまな症状をきたす疾患。がんの活性化に寄与することが知られるPIM-1は、MFを含む血液がんにおいて発現が著しく上昇しており、MFの治療標的のひとつであると考えられている。 選択的経口PIM1キナーゼ阻害剤であるTP-3654は、既に前臨床試験の中で、単剤およびルキソリチニブ(製品名:ジャカビ)との併用により、マウスMFモデルにおいて脾臓の大きさと骨髄(BM)の線維化を低減させることが示されてる。現在は再発/難治性MFを対象とした第1/2相試験において、有効性・安全性が評価されている。 2023年6月20日時点で、第1相用量漸増パートにおいて、5つの用量レベルにわたって合計23例が登録されている。患者背景は、年齢中央値が73歳、脾臓容積の中央値が2008.2cm³、全身症状スコア(TSS)の中央値が20.8、血小板数の中央値が115x109/L、ヘモグロビン値の中央値が10.1g/dLであった。また、1例を除く全例が1回以上のJAK阻害薬による前治療を受けていた。 TP-3654の治療期間中央値は14.9週で、用量制限毒性(DLT)は発生しなかった。20%以上で発現が認められた治療関連有害事象(TRAE)には、グレード1/2の悪心、嘔吐、下痢が含まれた。グレード3の有害事象は下痢(n=1)および血小板数減少(n=2)であった。 12週間以上継続投与された評価可能な13例中10例で脾臓容積減少が認められた(最高変化率中央値-11%、範囲+97%~-63%)。TSSの改善は、評価可能な13例中12例で観察され(最高変化中央値-70%、範囲+9~-100%)、7例は50%以上の改善を示した。また、12週目におけるサイトカインの減少が大きい症例ほどTSSの改善も大きい傾向が見られた。また、TP-3654治療によりMF関連サイトカインが減少し、その現象の度合いは症状の改善と相関ししていた。MF関連サイトカインの減少を示した1人の患者では、繊維化の改善が見られ、2年間積極的に治療を継続している。 以上より、再発/難治性MFに対するP-3654の初期臨床効果が認められ、忍容性も良好であることが示され、TP-3654は単剤療法として現在も登録が進行中である。 またこれらの有効性・安全性の結果は、今後はJAK阻害剤との併用による開発を支持していると結論付けている。 関連リンク:
626 Phase 1/2 Study of TP-3654, a Selective PIM1 Kinase Inhibitor: Preliminary Data Showed Clinical Activity and Cytokine Reductions in Relapsed/Refractory Myelofibrosis Patients
ニュース 血液がん PIM1

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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