この記事の3つのポイント
・治療歴のあるEGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がんが対象の第3相のPAPILLON試験
・アミバンタマブ+化学療法併用の有効性・安全性を比較検証
・化学療法単独群に比べ、無増悪生存期間を有意に延長
2023年11月30日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて、治療歴のあるEGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対する抗EGFR/MET二重特異性抗体であるアミバンタマブ+化学療法併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のPAPILLON試験(NCT04538664)の結果がCaicun Zhou氏らにより公表された。
PAPILLON試験は、治療歴のあるEGFRエクソン20挿入変異を有するNSCLC患者(N=308人)に対してアミバンタマブ+化学療法併用療法を実施する群(N=153人)、もしくは化学療法単独療法を実施する群(N=155人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として盲検独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)などを比較検証した第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるPFSの中央値は、アミバンタマブ+化学療法併用群の11.4ヶ月に対して化学療法単独群で6.7ヶ月と、アミバンタマブ+化学療法併用群で病勢進行または死亡のリスクを60%(HR:0.40,95%信頼区間:0.30-0.53,P<0.001)改善した。18ヶ月無増悪生存率はアミバンタマブ+化学療法併用群の31%に対して化学療法単独群で3%を示した。
副次評価項目である奏効率(完全奏効もしくは部分奏効)はアミバンタマブ+化学療法併用群の73%に対して化学療法単独群で33%と、アミバンタマブ+化学療法併用群で高率であった(Rate ratio:1.50,95%信頼区間:1.32-1.68,P<0.001)。また、初回解析時点におけるOSに関しては、化学療法単独群に比べてアミバンタマブ+化学療法併用群で死亡のリスクを33%減少(HR:0.67,95%信頼区間:0.42-1.09,P=0.11)した。
以上のPAPILLON試験の結果よりCaicun Zhou氏らは「治療歴のあるEGFRエクソン20挿入変異を有するNSCLCに対する抗EGFR/MET二重特異性抗体であるアミバンタマブ+化学療法併用療法は、化学療法単独に比べて無増悪生存期間を統計学的有意に改善し、優れた抗腫瘍効果を示しました」と結論づけている。
参照元:Amivantamab plus Chemotherapy in NSCLC with EGFR Exon 20 Insertions (N Engl J Med 2023; 389:2039-2051 DOI: 10.1056/NEJMoa2306441)