この記事の3つのポイント
・RET融合遺伝子陽性の進行性非小細胞肺がんが対象の第3相のLIBRETTO-431試験
・低分子チロシンキナーゼ阻害薬であるレットヴィモと、化学療法±キイトルーダの有効性・安全性を比較検証
・レットヴィモは化学療法±キイトルーダと比較して有意に生存期間を延長
2023年11月16日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて、RET融合遺伝子陽性の進行性非小細胞肺がん(NCCLC)に対する初回治療としてのRETのキナーゼ活性を選択的に阻害する低分子チロシンキナーゼ阻害薬であるセルペルカチニブ(製品名:レットヴィモ)単剤療法と、化学療法±抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のLIBRETTO-431試験(NCT04194944)の結果がCaicun Zhou氏らにより公表された。
LIBRETTO-431試験は、RET融合遺伝子陽性の進行性NCCLC患者に対する初回治療として、レットヴィモ単剤を投与する群、もしくはプラチナ系抗がん剤±キイトルーダ併用療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として盲検独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第3相試験である。なお、プラチナ系抗がん剤±キイトルーダ併用療法群においてBIRCによる病勢進行(PD)が確定した場合はレットヴィモ単剤療法へのクロスオーバーが可能である。
本試験の結果、主要評価項目であるBICRによるPFSの中央値は、レットヴィモ単剤群の24.8ヶ月(95%信頼区間:16.9ヶ月-未到達)に対してプラチナ系抗がん剤±キイトルーダ併用群で11.2ヶ月(95%信頼区間:8.8-16.8ヶ月)と、レットヴィモ単剤群でBICRによる病勢進行または死亡のリスクを54%(HR:0.46,95%信頼区間:0.31-0.70,P<0.001)減少した。
ORRはレットヴィモ単剤群の84%(95%信頼区間:76%-90%)に対してプラチナ系抗がん剤±キイトルーダ併用群で65%(95%信頼区間:54%-75%)を示した。
以上のLIBRETTO-431試験の結果よりCaicun Zhou氏らは、「RET融合遺伝子陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対する初回治療としてのレットヴィモ単剤療法は、プラチナ系抗がん剤±キイトルーダ併用療法に比べてPFSを有意に改善しました」と結論付けている。
参照元:First-Line Selpercatinib or Chemotherapy and Pembrolizumab in RET Fusion–Positive NSCLC(N Engl J Med 2023; 389:1839-1850 DOI: 10.1056/NEJMoa2309457)