RET遺伝子変異陽性の進行性甲状腺髄様がんに対するレットヴィモ、生存期間を有意に改善The New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2023.12.05
  • [最終更新日]2023.12.04
この記事の3つのポイント
・RET遺伝子変異陽性の進行性甲状腺髄様がんが対象の第3相のLIBRETTO-531試験
・低分子チロシンキナーゼ阻害薬であるレットヴィモ有効性安全性を検証
・レットヴィモは他のマルチキナーゼ阻害剤と比較して有意に生存期間を延長

2023年11月16日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて、RET遺伝子変異陽性の進行性甲状腺髄様がんに対してRETのキナーゼ活性を選択的に阻害する低分子チロシンキナーゼ阻害薬であるセルペルカチニブ(製品名:レットヴィモ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のLIBRETTO-531試験(NCT04211337)の結果がGustave RoussyのJulien Hadoux氏らにより公表された。

本試験は、RET遺伝子変異陽性の進行性甲状腺髄様がんに対する初回治療として、1日2回レットヴィモ160mg単剤を投与する群、主治医選択の治療薬(1日1回カボザンチニブ140mg、1日1回バンデタニブ300mg)を投与する群に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として盲検独立中央審査(BIRC)による無増悪生存期間PFS)を比較検証した第3相試験である。なお、主治医選択の治療薬群でBIRCにより病勢進行(PD)が確定した場合はレットヴィモへのクロスオーバーが許容された。

本試験のフォローアップ期間中央値12ヶ月時点における結果、主要評価項目であるPFSの中央値はレットヴィモ単剤群の未到達に対して主治医選択の治療薬群で16.8ヶ月(95%信頼区間:12.2-25.1ヶ月)と、レットヴィモ単剤群で病勢進行または死亡のリスクを72%(HR:0.28,95%信頼区間:0.16-0.48,P<0.001)減少した。12ヶ月PFSはレットヴィモ単剤群の86.8%(95% 信頼区間:79.8%-91.6%)に対して主治医選択の治療薬群で65.7%(95%信頼区間:51.9%-76.4%)を示した。

BIRCによる治療継続生存期間(Treatment failure free survival;TFFS)中央値はレットヴィモ単剤群の未到達に対して主治医選択の治療薬群で13.9ヶ月、12ヶ月治療継続生存率はレットヴィモ単剤群の86.2%(95% 信頼区間:79.1%-91.0%)に対して主治医選択の治療薬群で62.1%(95%信頼区間:48.9%-72.8%)を示した。

客観的奏効率ORR)はレットヴィモ単剤群の69.4%(95% 信頼区間:62.4%-75.8%)に対して主治医選択の治療薬群で38.8%(95% 信頼区間:29.1%-49.2%)を示した。有害事象(AE)による治療減量率はレットヴィモ単剤群の38.9%に対して主治医選択の治療薬群で77.3%、有害事象(AE)による治療中止率はレットヴィモ単剤群の4.7%に対して主治医選択の治療薬群で26.8%を示した。

以上のLIBRETTO-531試験の結果よりJulien Hadoux氏らは「RET遺伝子変異陽性の進行性甲状腺髄様がんに対するRETのキナーゼ活性を選択的に阻害する低分子チロシンキナーゼ阻害薬レットヴィモ単剤療法は、PFS、TFFSを改善しました」と結論を述べた。

参照元:
Phase 3 Trial of Selpercatinib in Advanced RET-Mutant Medullary Thyroid Cancer(N Engl J Med 2023; 389:1851-1861 DOI: 10.1056/NEJMoa2309719)

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