未治療HER2陽性胆道がんに対するハーセプチン+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法、6ヶ月無増悪生存率を有意に改善Journal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2023.11.28
  • [最終更新日]2023.11.27
この記事の3つのポイント
・未治療HER2陽性胆道がんを対象とした第2相TAB試験
・抗HER2モノクロナール抗体ハーセプチン+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法の有効性安全性を検証
・ハーセプチンと化学療法の併用は、化学療法単独と比較して6ヶ月無増悪生存率を改善

2023年11月09日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療のHER2陽性胆道がんに対する抗HER2モノクロナール抗体薬であるトラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法の有効性、安全性を検証した第2相TAB試験の結果がTata Memorial Hospital, Tata Memorial CentreのVikas Ostwal氏らにより公表された。

本試験は、未治療のHER2陽性胆道がんに対する初回治療として、ハーセプチン+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法を投与し、主要評価項目として6ヶ月無増悪生存率(PFS)を検証した第2相試験である。

スクリーニングを受けた876人の患者のうち、118人(13.4%)がHER2陽性であることが判明し、そのうち90人が試験に登録された。本試験のフォローアップ期間中央値17.3ヶ月(95%信頼区間:15.22-19.32ヶ月)時点における結果、主要評価項目である6ヶ月PFSは75.6%(95%信頼区間:66.6%-84.6%)を示した。また、全奏効率ORR)は80%を示し、奏効の内訳は部分奏効率(PR)が55.5%(N=50人)、病勢安定率(SD)が24.4%(N=22人)であった。

なお、TP53遺伝子変異のある患者はその他の遺伝子変異陽性(TERT promoter, HER2, PIK3CA等)、もしくは全ての遺伝子変異陰性の患者に比べてPFSの延長が不良であることが確認された。

以上の結果よりVikas Ostwal氏らは「未治療HER2陽性胆道がんに対するハーセプチンは、化学療法に対する奏効の改善とPFS延長という点で良好な有効性を示した。TP53変異症例は、他の変異と比較して予後が不良であることが示唆された」と述べている。

参照元:
Trastuzumab Plus Gemcitabine-Cisplatin for Treatment-Naïve Human Epidermal Growth Factor Receptor 2–Positive Biliary Tract Adenocarcinoma(Journal of Clinical Oncology 2023. DOI: 10.1200/JCO.23.01193 )

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