この記事の3つのポイント
・DNAミスマッチ修復機能欠損のある進行固形がんが対象の第1相試験
・抗PD-1抗体ドスタルリマブの有効性・安全性を検証
・ドスタリマブは持続的な抗腫瘍効果を示す
2023年11月02日、医学誌『JAMA Network』にてDNAミスマッチ修復機能欠損(dMMR)のある進行固形がんに対するプログラム細胞死 1(PD-1)受容体を標的とする免疫チェックポイント阻害薬であるドスタルリマブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第I相試験(NCT02715284)の結果がSaint-Antoine HospitalのThierry André氏らにより公表された。
本試験は、dMMRのある進行性/再発固形がんに対して3週を1サイクルとしてドスタルリマブ500mg単剤を4サイクル投与、その後6週を1サイクルとしてドスタルリマブ1,000mg単剤を病勢進行するまで投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証した単群多施設共同オープンラベルの第1相試験である。
本試験に登録された327人の患者背景は、年齢中央値は63歳(24-85歳)、女性の割合が71.9%(N=235人)、人種に関してはアジア人2.1%(N=7人)、黒人1.8%(N=6人)、白人63.0%(N=206人)、またがんの種類は子宮内膜がん43.1%(N=141人)、大腸がん32.1%(N=105人)、その他24.8%(N=81人)であった。全ての患者が少なくとも1レジメンの前治療歴を有していた。
本試験の結果、主要評価項目であるORRは44.0%(95%信頼区間:38.6%-49.6%)、奏効持続期間(DOR)中央値は未到達、奏効を示した72.2%(N=104/144人)の患者で12ヶ月以上の奏効が確認された。無増悪生存期間(PFS)中央値は6.9ヶ月(95%信頼区間:4.2-13.6ヶ月)、24ヶ月無増悪生存率(PFS)は40.6%(95%信頼区間:35.0%-46.1%)を示した。全生存期間(OS)中央値は未到達(95%信頼区間:31.6ヶ月-未到達)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された免疫関連の有害事象は、甲状腺機能低下症が6.9%、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加が5.8%、関節痛4.7%であった。
以上の結果よりThierry André氏らは「dMMRのある進行性/再発固形がんに対するドスタルリマブ単剤療法は、持続的で良好な抗腫瘍効果を示し、忍容性も良好でした」と述べている。
Antitumor Activity and Safety of Dostarlimab Monotherapy in Patients With Mismatch Repair Deficient Solid Tumors(JAMA Netw Open. 2023;6(11) doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.41165)あなたは医師ですか。