この記事の3つのポイント
・未治療の進行性淡明細胞型腎細胞がんを対象とした第2相のPRISM試験
・オプジーボ+ヤーボイ併用療法の投与スケジュール変更による安全性・有効性を検証
・投与間隔の変更により、安全性を有意に改善
2023年11月06日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療の進行性淡明細胞型腎細胞がんに対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(製品名:オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるイピリムマブ(製品名:ヤーボイ)併用療法の投与スケジュール変更による有効性、安全性を検証した第2相のPRISM試験の結果がUniversity of LeedsのNaveen S. Vasudev氏らにより公表された。
本試験は、未治療の進行性淡明細胞型腎細胞がんに対して、12週を1サイクルとしヤーボイ1mg+オプジーボ3mg/kg併用療法を実施するmodified群、もしくは3週を1サイクルとしヤーボイ1mg+オプジーボ3mg/kg併用療法を実施するstandard群に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてグレード3~5の治療関連有害事象(TRAE)発症率、副次評価項目としてスニチニブ対照群と比較したmodified群における12ヵ月無増悪生存割合を検証した第2相試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるグレード3~5のTRAE発症率はmodified群で32.8%に対してstandard群で53.1%(OR:0.43,90%信頼区間:0.25-0.72,P=0.0075)を示した。副次評価項目である12ヶ月無増悪生存割合はmodified群で46.1%(90%信頼区間:38.6%-53.2%)を示した。
また客観的奏効率はmodified群の45.3%に対してstandard群で35.9%、無増悪生存期間(PFS)中央値はmodified群の10.8ヶ月に対してstandard群で9.8ヶ月を示した。
以上のPRISM試験の結果よりNaveen S. Vasudev氏らは「未治療の進行性淡明細胞型腎細胞がんに対するオプジーボ+ヤーボイ併用療法のmodified群は、standard群に比べて毒性を有意に改善した。また有効性に関しては、スニチニブ群と比較して事前に規定された基準を満たさなかったものの、変更スケジュールによる有効性の低下は示唆されませんでした。投与間隔の延長により患者報告アウトカムを改善する可能性があります」と述べている。
参照元:Standard Versus Modified Ipilimumab, in Combination With Nivolumab, in Advanced Renal Cell Carcinoma: A Randomized Phase II Trial (PRISM)