この記事の3つのポイント
・切除可能非小細胞肺がんを対象とした第3相のAEGEAN試験
・術前化学療法+イミフィンジおよび術後イミフィンジ単剤療法の有効性・安全性を検証
・パクリタキセル単剤に比べ、Ofranergene Obadenovec上乗せによる有効性は認められず
2023年11月02日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)に対する周術期療法としての抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)+プラチナ系ベースの化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のAEGEAN試験(NCT03800134)の結果がMD Anderson Cancer CenterのJohn V. Heymach氏らにより公表された。
AEGEAN試験は、切除可能NSCLC患者(N=802人)に対して、術前療法として3週1サイクルでイミフィンジ+プラチナ系ベースの化学療法を4サイクル実施し、術後療法として4週1サイクルでイミフィンジ単剤療法を12サイクル実施する群(N=400人)、もしくは術前療法として3週1サイクルでプラセボ+プラチナ系ベースの化学療法を4サイクル実施し、術後療法として4週1サイクルでプラセボ単剤療法を12サイクル実施する群(N=402人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無イベント生存期間(EFS)、病理学的寛解率(pCR)を比較検証したランダム化二重盲検プラセボ対照多施設共同の第3相試験である。
本試験の初回解析の結果、主要評価項目であるEFSは、プラセボ群に比べてイミフィンジ群で統計学的有意に改善し、病勢進行、手術中止、再発等のリスクを32%(HR:0.68,95%信頼区間:0.53-0.88,P=0.004)減少した。12ヶ月EFSはイミフィンジ群の73.4%(95%信頼区間:67.9%-78.1%)に対してプラセボ群で64.5%(95%信頼区間:58.8%-69.6%)を示した。
pCRはイミフィンジ群の17.2%に対してプラセボ群で4.3%を示し、イミフィンジ群で13.0%(95%信頼区間:8.7%-17.6%,P<0.001)統計学的有意に高率であった。なお、プラセボ群に比べたイミフィンジ群のEFS、pCRの臨床ベネフィットは、PD-L1発現率に関係なく確認された。
一方の安全性として、グレード3もしくは4の有害事象(AE)発症率はイミフィンジ群の42.4%に対してプラセボ群で43.2%を示した。
以上のAEGEAN試験の結果より、John V. Heymach氏らは「切除可能NSCLC患者に対する術前化学療法+イミフィンジおよび術後イミフィンジ単剤療法は、EFS、pCRを統計学的有意に改善し、安全性プロファイルはこれまでの個々の薬剤の報告と同等でした」と結論付けている。
参照元:Perioperative Durvalumab for Resectable Non–Small-Cell Lung Cancer