治療歴のある小細胞肺がんに対するBiTE抗体タルラタマブ療法、良好な抗腫瘍効果を示すThe New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2023.11.16
  • [最終更新日]2023.11.13
この記事の3つのポイント
・治療歴のある小細胞肺がんを対象とした第2相DeLLphi-301試験
・DLL3とCD3を標的としたBiTE抗体タルラタマブの有効性安全性を検証
・タルラタマブ 10mgにより良好な有効性・安全性を示す

2023年10月20日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて、治療歴のある小細胞肺がんに対するデルタ様リガンド3(DLL3)とCD3を標的とした二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体であるtarlatamab(タルラタマブ)療法の有効性、安全性を検証した第2相DeLLphi-301試験の結果がMyung-Ju Ahn氏らにより公表された。

本試験は、治療歴のある小細胞肺がん患者(N=220人)に対して、2週を1サイクルとしてタルラタマブ10mg/100mg療法を投与し、主要評価項目として盲検独立中央判定(BICR)により客観的奏効率ORR)を検証した第2相試験である。

本試験の結果、主要評価項目であるORRは、タルラタマブ10mg群で40%(97.5%信頼区間:29%-32%)、タルラタマブ100mg群で32%(97.5%信頼区間:21%-44%)を示した。また、奏効を示した患者のうち、6ヶ月奏効持続率(DOR)は59%(N=40/68人)を示した。

その他の評価項目である無増悪生存期間PFS中央値はタルラタマブ10mg群で4.9ヶ月(95%信頼区間:2.9-6.7ヶ月)、タルラタマブ100mg群で3.9ヶ月(95%信頼区間:2.6-4.4ヶ月)を示した。9ヶ月全生存率(OS)はタルラタマブ10mg群で68%、タルラタマブ100mg群で66%を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)はサイトカイン放出症候群CRS)であり、タルラタマブ10mg群で51%、タルラタマブ100mg群で61%、また食欲減退は29%、44%、発熱は35%、33%でそれぞれ認められた。

CRSを発症した患者の発症タイミングは、大半が1サイクル目であり、そのグレードは1もしくは2であった。グレード3のCRS発症率はタルラタマブ10mg群で1%、タルラタマブ100mg群で6%で、タルラタマブ10mg群で低率であった。

以上の第2相試験の結果よりMyung-Ju Ahn氏らは、「治療歴のある小細胞肺がんに対するタルラタマブ療法は、特に10mg投与により良好な抗腫瘍効果と安全性を示しました」と結論付けている。

参照元:
Ofranergene Obadenovec (Ofra-Vec, VB-111) With Weekly Paclitaxel for Platinum-Resistant Ovarian Cancer: Randomized Controlled Phase III Trial (OVAL Study/GOG 3018)

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン