治療歴のある進行非小細胞肺がんに対するダトポタマブ デルクステカン、無増悪生存期間を有意に改善ESMO2023より


  • [公開日]2023.11.13
  • [最終更新日]2023.11.10
この記事の3つのポイント
・治療歴のある進行非小細胞肺がんを対象とした第3相のTROPION-Lung01試験
・抗TROP2抗体薬物複合体ダトポタマブ デルクステカン療法の有効性安全性を検証
・ダトポタマブ デルクステカンは標準治療と比較して無増悪生存期間を有意に改善

2023年10月20~24日、スペイン・マドリードで開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)にて、治療歴のある進行性非小細胞肺がんに対する抗TROP2抗体薬物複合体(ADC)であるダトポタマブ デルクステカン(DS-1062)療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のTROPION-Lung01試験の結果がUniversity of CaliforniaのAaron E. Lisberg氏らにより公表された。

TROPION-Lung01試験は、治療歴のある進行性非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対してダトポタマブ デルクステカン(DS-1062)を投与する群、もしくは現在の標準治療であるドセタキセル単剤を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間OS)を比較検証した第3相試験である。

本試験には604人の患者が登録され、前治療レジメン数は1レジメンが57%、2レジメンが35%、免疫チェックポイント阻害薬の治療歴を有する割合は88%であった。

主要評価項目であるPFSの中央値は、ダトポタマブ デルクステカン群の4.4ヶ月(95%信頼区間:4.2-5.6ヶ月)に対してドセタキセル単剤群で3.7ヶ月(95%信頼区間:2.9-4.2ヶ月)と、ダトポタマブ デルクステカン群で病勢進行または死亡のリスクを25%減少し、統計学的有意な改善を示した(HR:0.75,95%信頼区間:0.62-0.91,P=0.004)。

もう1つの主要評価項目であるOSの中央値は、ダトポタマブ デルクステカン群の12.4ヶ月に対してドセタキセル単剤群で11.0ヶ月(HR:0.90,95%信頼区間:0.72–1.13)を示した。

その他評価項目であるORRは、ダトポタマブ デルクステカン群の26.4%(95%信頼区間:21.5%-31.8%)に対してドセタキセル単剤群で12.8%(95%信頼区間:9.3%-17.1%)を示した。
またDORの中央値は、ダトポタマブ デルクステカン群の7.1ヶ月(95%信頼区間:5.6-10.9ヶ月)に対してドセタキセル単剤群で5.6ヶ月(95%信頼区間:5.4-8.1ヶ月)を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたダトポタマブ デルクステカン群の治療関連有害事象(TRAE)は口内炎が47%、吐き気が34%であった。グレード3以上のTRAEによる減量、治療中止はドセタキセル単剤群に比べてダトポタマブ デルクステカン(DS-1062)群の患者で多く確認された。

なお本試験は、OSの最終解析まで継続される予定。

参照元:
Ahn M-J, et al. Datopotamab deruxtecan (Dato-DXd) vs docetaxel in previously treated advanced/metastatic (adv/met) non-small cell lung cancer (NSCLC): results of the randomized phase 3 study TROPION-Lung01. ESMO Congress 2023, LBA12

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン