この記事の3つのポイント
・転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象とした第3相のKEYNOTE-641試験
・抗PD-1抗体キイトルーダ+イクスタンジ+アンドロゲン除去療法の有効性・安全性を検証
・キイトルーダ+イクスタンジ+アンドロゲン除去療法により有効性は改善せず
2023年10月20~24日、スペイン・マドリードで開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)にて転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)+エンザルタミド(商品名:イクスタンジ)+アンドロゲン除去療法(ADT)の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-641試験の結果が公表された。
KEYNOTE-641試験は、mCRPC患者(N=1244人)に対して、3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+1日1回イクスタンジ160mg+ADTを実施する群、もしくは3週を1サイクルとしてプラセボ+1日1回イクスタンジ160mg+ADTを実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、盲検下独立中央画像判定で評価した画像無増悪生存期間(rPFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、安全性等を比較検証した無作為化二重盲検第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるOSは、キイトルーダ+イクスタンジ+ADT群の24.7ヶ月に対してプラセボ+イクスタンジ+ADT群で27.3ヶ月と、両群において統計学的有意な差は確認されなかった(HR:1.04,95%信頼区間:0.88−1.22)。
もう1つの主要評価項目であるrPFSは、キイトルーダ+イクスタンジ+アンドロゲンADT群の10.4ヶ月に対してプラセボ+イクスタンジ+ADT群で9.0ヶ月と、両群で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.98,95%信頼区間:0.84−1.14)。
完全奏効率(CR)は、キイトルーダ+イクスタンジ+アンドロゲン除去療法(ADT)群の7.4%に対してプラセボ+イクスタンジ+ADT群で2.7%を示した。
以上の結果から、Oregon Health and Science UniversityのJulie N. Graff氏は、「アビラテロン治療歴の有無に関わらず、キイトルーダ+イクスタンジ+ADTはプラセボ+イクスタンジ+ADTと比較して有効性を改善しませんでした」と結論付けた。
参照元:Graff JN, et al. Pembrolizumab (pembro) plus enzalutamide (enza) for patients (pts) with metastatic castration-resistant prostate cancer (mCRPC): randomized double-blind phase 3 KEYNOTE-641 study. ESMO Congress 2023, Abstract 1771MO