この記事の3つのポイント
・転移性/再発子宮頸がんがんを対象とした第3相のBEATcc試験
・ベバシズマブ+化学療法に対する抗PD-L1抗体薬アテゾリズマブの上乗せの有効性・安全性を検証
・アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法により無増悪生存期間を有意に改善
2023年11月3日、オンラインミーティングで開催されたESMO Virtual Plenaryにて、転移性/再発子宮頸がんに対する初回治療としての抗PD-L1抗体薬アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)+VEGF阻害薬ベバシズマブ(製品名:アバスチン)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のBEATcc試験(NCT03556839)の結果が公表された。
BEATcc試験とは、転移性/再発子宮頸がんに対する初回治療として、3週を1サイクルとしてアテゾリズマブ1200mg+ベバシズマブ15mg/kg+シスプラチン50mg/m2もしくはカルボプラチンAUC5+パクリタキセル175mg/m2併用療法を実施する群(N=206人)、または3週を1サイクルとしてプラセボ+ベバシズマブ15mg/kg+シスプラチン50mg/m2もしくはカルボプラチンAUC5+パクリタキセル175mg/m2併用療法を投与する群(N=204人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、安全性等を比較検証した多施設共同ランダム化オープンラベルの第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるOS中央値はアテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法併用群の32.1ヶ月に対してプラセボ+ベバシズマブ+化学療法併用群で22.8ヶ月と、アテゾリズマブ上乗せにより死亡のリスクを32%改善した(HR:0.68,95%信頼区間:0.52–0.88,P=0.0046)。
もう1つの主要評価項目であるPFS中央値は、アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法併用群の13.7ヶ月(95%信頼区間:12.3-16.6ヶ月)に対してプラセボ+ベバシズマブ+化学療法併用群で10.4ヶ月(95%信頼区間:9.7-11.7ヶ月)と、テセントリク+ベバシズマブ+化学療法併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを38%統計学的有意に改善した(HR:0.62,95%信頼区間:0.49–0.78,P<0.0001)。
副次評価項目としてのORRは、アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法併用群で84%に対してプラセボ+ベバシズマブ+化学療法併用群で72%を示した。一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はテセントリク+ベバシズマブ+化学療法併用群の79%に対してプラセボ+ベバシズマブ+化学療法併用群で75%を示した。
以上の結果を受けてAna Oaknin氏らは「転移性/再発子宮頸がんに対する初回治療として、ベバシズマブ+化学療法にアテゾリズマブを追加することで、すべての有効性アウトカムが有意に改善しました」と結論付けている。
参照元:Primary results from BEATcc, a randomised phase III trial of first-line atezolizumab combined with a platinum doublet and bevacizumab for metastatic cervical cancer