・チロシンキナーゼ阻害薬抵抗性のある非小細胞肺がんを対象とした第3相のATTLAS試験
・アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法の有効性、安全性を検証
・アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法により無増悪生存期間が統計学的有意に改善
2023年10月20~24日、スペイン・マドリードで開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)にてチロシンキナーゼ阻害薬抵抗性のある非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対する抗PL-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(製品名:テセントリク)+ベバシズマブ(製品名:アバスチン)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のATTLAS試験の結果が公表された。
ATTLAS試験は、チロシンキナーゼ阻害薬抵抗性のある非小細胞肺がん(NSCLC)に対してアテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法を実施する群、もしくは単独化学療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるPFSの中央値は、アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法群の8.5ヶ月に対して単独化学療法群で5.6ヶ月と、アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法群で病勢進行または死亡のリスクを38%改善した(HR:0.62,95%信頼区間:0.45-0.86,P=0.004)。
6ヶ月PFSは、アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法群の72%に対して単独化学療法群で48%(P=0.163)、1年PFSはアテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法群の36%に対して単独化学療法群で23%(P=0.012)、2年PFSはアテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法群の13%に対して単独化学療法群で9%(P=0.006)を示した。
客観的奏効率(ORR)は、アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法群の69.5%に対して単独化学療法群で41.9%(P<0.001)を示した。一方の安全性として、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。
以上の結果を受けてMyung-Ju Ahn氏は「本試験は、標的治療で進行したEGFRまたはALK変異NSCLCにおいて、抗PD-L1抗体とベバシズマブおよび化学療法との併用による臨床的有用性を実証した初の無作為化第3相試験である」と述べている。
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