切除不能な進行トリプルネガティブ乳がんに対するデュルバルマブ+ダトポタマブデルクステカン併用療法、良好な抗腫瘍効果を示す


  • [公開日]2023.11.07
  • [最終更新日]2023.11.02
この記事の3つのポイント
・進行トリプルネガティブ乳がんを対象とした第1b/2相のBEGONIA試験
・初回治療としてのデュルバルマブ+ダトポタマブデルクステカンの有効性安全性を検証
・デュルバルマブ+ダトポタマブデルクステカンによる有望な抗腫瘍効果を示す

2023年10月20~24日、スペイン・マドリードで開催されているESMO(欧州臨床腫瘍学会)にて切除不能な局所進行性/転移性トリプルネガティブ乳がんに対する初回治療としての抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)+抗TROP2を標的とした抗体薬物複合体であるダトポタマブデルクステカン(Dato-DXd/DS-1062)併用療法の有効性、安全性を検証した第1b/2相のBEGONIA試験(NCT03742102)の結果が公表された。

BEGONIA試験は、切除不能な局所進行性/転移性トリプルネガティブ乳がん患者(N=62人)に対してデュルバルマブ+Dato-DXd併用療法を実施し、主要評価項目として客観的奏効率ORR)、その他評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間PFS)、有害事象(AE)などを検証した試験である。

本試験の結果、主要評価項目であるORRは79%(95%信頼区間:66.8%-88.3%)を示し、奏効を示した患者の6人で完全奏効(CR)、43人で部分奏効(PR)が確認された。なお、奏効はPD-L1発現レベルに関係なく確認されている。DORの中央値は15.5ヶ月、PFSの中央値は13.8ヶ月(95%信頼区間:11ヶ月-未到達)を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は嘔吐が65%、口内炎が65%であった。また、グレード3から4のAE発症率は57%、重篤な有害事象(SAE)発症率は23%を示した。グレード2の間質性肺炎(ILD)が3人の患者で確認された。治療関連有害事象(TRAE)による死亡は確認されなかったが、TRAEによる治療中止率は16%であった。

以上の結果からBarts Cancer InstituteのPeter Schmid氏は「切除不能な局所進行性/転移性トリプルネガティブ乳がんに対するデュルバルマブ+Dato-DXd併用療法は、管理可能な有害事象と有望な抗腫瘍効果を示しました。データの詳細な解析は現在進行中です」と述べている。

参照元:
Schmid P, et al. Datopotamab deruxtecan (Dato-DXd) + durvalumab (d) as first-line (1L) treatment for unresectable locally advanced/metastatic triple-negative breast cancer (A/MTNBC): updated results from BEGONIA, a phase 1b/2 study. ESMO Congress 2023, Abstract 379MO

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