この記事の3つのポイント
・進行トリプルネガティブ乳がんを対象とした第1b/2相のBEGONIA試験
・初回治療としてのデュルバルマブ+ダトポタマブデルクステカンの有効性・安全性を検証
・デュルバルマブ+ダトポタマブデルクステカンによる有望な抗腫瘍効果を示す
2023年10月20~24日、スペイン・マドリードで開催されているESMO(欧州臨床腫瘍学会)にて切除不能な局所進行性/転移性トリプルネガティブ乳がんに対する初回治療としての抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)+抗TROP2を標的とした抗体薬物複合体であるダトポタマブデルクステカン(Dato-DXd/DS-1062)併用療法の有効性、安全性を検証した第1b/2相のBEGONIA試験(NCT03742102)の結果が公表された。
BEGONIA試験は、切除不能な局所進行性/転移性トリプルネガティブ乳がん患者(N=62人)に対してデュルバルマブ+Dato-DXd併用療法を実施し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、その他評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、有害事象(AE)などを検証した試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるORRは79%(95%信頼区間:66.8%-88.3%)を示し、奏効を示した患者の6人で完全奏効(CR)、43人で部分奏効(PR)が確認された。なお、奏効はPD-L1発現レベルに関係なく確認されている。DORの中央値は15.5ヶ月、PFSの中央値は13.8ヶ月(95%信頼区間:11ヶ月-未到達)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は嘔吐が65%、口内炎が65%であった。また、グレード3から4のAE発症率は57%、重篤な有害事象(SAE)発症率は23%を示した。グレード2の間質性肺炎(ILD)が3人の患者で確認された。治療関連有害事象(TRAE)による死亡は確認されなかったが、TRAEによる治療中止率は16%であった。
以上の結果からBarts Cancer InstituteのPeter Schmid氏は「切除不能な局所進行性/転移性トリプルネガティブ乳がんに対するデュルバルマブ+Dato-DXd併用療法は、管理可能な有害事象と有望な抗腫瘍効果を示しました。データの詳細な解析は現在進行中です」と述べている。
参照元:Schmid P, et al. Datopotamab deruxtecan (Dato-DXd) + durvalumab (d) as first-line (1L) treatment for unresectable locally advanced/metastatic triple-negative breast cancer (A/MTNBC): updated results from BEGONIA, a phase 1b/2 study. ESMO Congress 2023, Abstract 379MO