原発不明がんに対する化学療法後の分子標的薬、無増悪生存期間を改善ESMO2023より


  • [公開日]2023.11.06
  • [最終更新日]2023.11.02
この記事の3つのポイント
・原発不明がんを対象とした第2相のCUPISCO試験
・導入化学療法後の遺伝子解析結果に基づく個別化治療の有効性安全性を検証
・試験対象症例において無増悪生存期間の改善傾向を示す

2023年10月20~24日、スペイン・マドリードで開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)にて、原発不明がん(cancers of unknown primary)に対するプレシジョンメディシン(精密医療)の有用性を検証した第2相のCUPISCO試験の結果がPeter MacCallum Cancer Centre and University of MelbourneのLinda Mileshkin氏らにより公表された。

CUPISCO試験は原発不明がんに対して導入療法として化学療法を3サイクル実施し、病勢コントロールが得られた場合のみ、遺伝子解析結果に基づいた主治医選択の個別化医療(molecularly-guided therapy;以下MGT)を実施する群(N=326人)、もしくは標準プラチナ系抗がん剤を投与する群(N=110人)に3対1の割合で分けて、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を検証した第2相試験である。

本試験の結果、主要評価項目であるPFSの中央値は、MGT群の6.1ヶ月(95%信頼区間:4.7-6.5ヶ月)に対して標準プラチナ系抗がん剤群で4.4ヶ月(95%信頼区間:4.1-5.6ヶ月)と、MGT群で病勢進行または死亡のリスクが28%減少した(HR:0.72,95%信頼区間:0.56-0.92,P=0.0079)。

その他の評価項目として、全生存期間OS)はデータが未成熟であるが、標準プラチナ系抗がん剤群に比べてMGT群で死亡のリスクを18%改善する傾向を示した(HR:0.82,95%信頼区間:0.62-1.09,P=0.1779)。客観的奏効率ORR)はMGT群17.8%に対して標準プラチナ系抗がん剤群8.2%を示し、奏効持続期間(DOR)は標準プラチナ系抗がん剤群に比べてMGT群で改善する傾向を示した(HR:0.95,95%信頼区間:0.33-2.72)。

以上のCUPISCO試験の結果より、Linda Mileshkin氏らは「標準化学療法により治療成績が不良な原発不明がんに対して、遺伝子解析結果の情報を参考にして個別化医療を実施する治療が良好な結果をもたらす可能性が示唆されました」と結論付けた。

参照元:
Mileshkin L, et al. Primary analysis of efficacy and safety in the CUPISCO trial: A randomised, global study of targeted therapy or cancer immunotherapy guided by comprehensive genomic profiling (CGP) vs platinum-based chemotherapy (CTX) in newly diagnosed, unfavourable cancer of unknown primary (CUP). ESMO Congress 2023, LBA16

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