・切除可能なステージIIA-IIIB非小細胞肺がんを対象とした第3相のCheckMate-77T試験
・術前ニボルマブ+化学療法と術後ニボルマブの有効性、安全性を検証
・周術期ニボルマブ投与は、無イベント生存期間を有意に延長
2023年10月20~24日、スペイン・マドリードで開催されているESMO(欧州臨床腫瘍学会)にて、切除可能なステージIIA-IIIB非小細胞肺がんに対する術前療法としての抗PD-1抗体薬ニボルマブ(製品名:オプジーボ)+化学療法とそれに続く術後療法としてのニボルマブ単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCheckMate-77T試験の結果がMD Anderson Cancer CenterのTina Cascone氏らにより公表された。
CheckMate-77T試験は、切除可能なステージIIA-IIIB非小細胞肺がん患者(N=461人)に対して、術前療法としてニボルマブ+化学療法、術後療法としてニボルマブ単剤療法を投与する群、もしくは術前療法としてプラセボ+化学療法、術後療法としてプラセボ単剤療法を投与する群に割り付けを行い、主要評価項目として無イベント生存期間(EFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、病理学的完全奏効率(pCR)、Major Pathological Response(MPR)を検証した多施設無作為化二重盲検プラセボ対照第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値15.7ヶ月時点における結果、主要評価項目であるEFSはニボルマブ投与群の未到達に対してプラセボ群で18.4ヶ月と、ニボルマブ+化学療法群で病勢進行、死亡等のイベント発生リスクが42%減少した(HR:0.58,97.36%信頼区間:0.42-0.81,P=0.00025)。
副次評価項目であるpCRは、ニボルマブ群の25.3%に対してプラセボ群で4.7%(Odds Ratio:6.64,95%信頼区間:3.40–12.97)、MPRはニボルマブ群の35.4%に対してプラセボ群で12.1%(Odds Ratio:4.01,95%信頼区間:2.48–6.49)を示した。
安全性に関しては、グレード3から4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、ニボルマブ群で32%に対してプラセボ群で25%であった。
以上のCheckMate-77T試験の結果よりTina Cascone氏らは「切除可能なステージIIA-IIIB非小細胞肺がんに対する術前療法としての抗PD-1抗体薬ニボルマブ+化学療法と続く術後療法としてのニボルマブ単剤療法は、臨床的意義のある抗腫瘍効果を示しました」と結論付けている。
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