免疫チェックポイント阻害薬抵抗性のある進行性非扁平上皮非小細胞肺がんに対するシトラバチニブ+オプジーボ併用療法、OSを改善するも有意差は確認されずESMO2023より


  • [公開日]2023.10.30
  • [最終更新日]2023.10.26
この記事の3つのポイント
免疫チェックポイント阻害薬抵抗性のある進行性非小細胞非扁平上皮肺がんを対象とした第3相のSAPPHIRE試験
二次治療以降のシトラバチニブ+ニボルマブ併用療法の有効性安全性を検証
ドセタキセル単剤群に比べ、全生存期間を改善するも統計学的な有意な差は確認されず

2023年10月20~24日、スペイン・マドリードで開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)にて、免疫チェックポイント阻害薬に耐性のある進行性非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対する二次治療、三次治療としての、チロシンキナーゼ阻害薬であるシトラバチニブ+抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(製品名:オプジーボ)併用療法の有効性、安全性を検証した第3相のSAPPHIRE試験の結果がFox Chase Cancer CenterのHossein Borghaei氏らにより公表された。

SAPPHIRE試験は、免疫チェックポイント阻害薬およびプラチナ系抗癌剤の同時投与または逐次投与に対して奏効が見られ、その後に病勢進行した進行性非扁平上皮NSCLCに対する二次治療、三次治療として、1日1回シトラバチニブ100mg+2週もしくは4週を1サイクルとしてニボルマブ240mgもしくは480mg併用療法を実施する群、もしくは3週を1サイクルとしてドセタキセル75mg/m2単剤を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、客観的奏効率ORR)、臨床的ベネフィット率(CBR)、奏効持続期間(DOR)、安全性等を比較検証した第3相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値17.1ヶ月時点における結果、主要評価項目であるOS中央値はシトラバチニブ+ニボルマブ併用群の12.2ヶ月に対してドセタキセル単剤群で10.6ヶ月と、シトラバチニブ+ニボルマブ併用群で死亡のリスクを14%改善するも、統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.86,95%信頼区間:0.70-1.05,P=0.144)。

副次評価項目であるPFSの中央値は、シトラバチニブ+ニボルマブ併用群の4.4ヶ月に対してドセタキセル単剤群で5.4ヶ月と、シトラバチニブ+ニボルマブ併用群で病勢進行または死亡のリスクが8%増加した(HR:1.08,95%信頼区間:0.89-1.32,P=0.452)。

ORRは、シトラバチニブ+ニボルマブ併用群の15.6%に対してドセタキセル単剤群で17.2%、CBRはシトラバチニブ+ニボルマブ併用群の75.5%に対してドセタキセル単剤群で64.5%をそれぞれ示した。DOR中央値はシトラバチニブ+ニボルマブ併用群の7.4ヶ月に対してドセタキセル単剤群で7.1ヶ月を示した。

グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、シトラバチニブ+ニボルマブ併用群の53.0%に対してドセタキセル単剤群で66.7%を示した。最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)はシトラバチニブ+ニボルマブ併用群で下痢が56%、嘔吐が31.3%、食欲減退が29%、ドセタキセル単剤群で下痢が36%、疲労が36%、嘔吐が32%、好中球数減少が32%をそれぞれ示した。

以上のSAPPHIRE試験の結果よりHossein Borghaei氏らは「免疫チェックポイント阻害薬による治療歴のある進行性非扁平上皮NSCLCに対するシトラバチニブ+抗PD-1抗体薬ニボルマブ併用療法は、ドセタキセル単剤療法に比べてOSを改善するも、両群間で統計学的有意な差は確認されませんでした」と結論を述べた。

参照元:
Borghaei H, et al. SAPPHIRE: Phase 3 study of sitravatinib plus nivolumab versus docetaxel in patients with previously treated advanced non-squamous non-small cell lung cancer (NSCLC). ESMO Congress 2023

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