ALK遺伝子変異陽性の早期非小細胞肺がんに対するALK阻害薬アレセンサ単剤療法、無増悪生存期間を統計学有意に改善-スイス・ロシュ社-


  • [公開日]2023.10.25
  • [最終更新日]2023.10.24
この記事の3つのポイント
・ALK遺伝子変異陽性の早期非小細胞肺がんを対象とした第3相のEMBARK試験
・ALK阻害薬アレセンサ単剤療法有効性安全性を検証
・プラチナ系抗がん剤に比べ、アレセンサ単剤で病勢進行または死亡(DFS)のリスクを統計学有意に改善

10月18日、スイス・ロシュ社のプレスリリースにて、ALK遺伝子変異陽性の早期(ステージIA-IIIB)非小細胞肺がん(NSCLC)に対するALK阻害薬であるアレクチニブ(商品名:アレセンサ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第3相のALINA試験(NCT03456076)の結果が公表された。

ALINA試験は、ALK遺伝子変異陽性の早期非小細胞肺がん患者(N=257人)に対してアレセンサ単剤を投与する群、もしくはプラチナ系抗がん剤を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(DFS)、副次評価項目として全生存期間OS)、有害事象(AE)発症率を検証した国際多施設共同オープンラベルランダム化の第3相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(DFS)は、プラチナ系抗がん剤療法群に比べてアレセンサ単剤群で病勢進行または死亡(DFS)のリスクを76%統計学有意に改善した(HR:0.24,95%信頼区間:0.13-0.43,P<0.0001)。また、中枢神経系CNS転移のある患者群でもアレセンサ単剤群で病勢進行または死亡(DFS)のリスクを78%改善した(HR:0.22,95%信頼区間:0.08-0.58)。副次評価項目である全生存期間(OS)は、データが未成熟であった。

一方の安全性として、アレセンサの安全性プロファイルは既存の臨床試験で確認されている内容と一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。

以上のALINA試験の主要評価項目の結果より、Peter MacCallum Cancer CentreのBenjamin Solomon氏は「ALK遺伝子変異陽性の早期非小細胞肺がんの治療選択肢は限定的です。アレセンサ単剤療法は本疾患の治療選択肢になり得る可能性が本試験の結果より示唆されました」と述べている。

参照元:
Roche’s Alecensa reduces the risk of disease recurrence or death by an unprecedented 76% in people with ALK-positive early-stage non-small cell lung cancer

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