この記事の3つのポイント
・化学療法後に進行した胸膜中皮腫を対象とした単施設第2相PEMMELA試験
・抗PD-1抗体ペムブロリズマブとマルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ併用療法の有効性・安全性を検証
・抗腫瘍効果が認められたものの高い毒性を示す
2023年10月13日、医学誌『The Lancet Oncology』にて、治療歴のある胸膜中皮腫(pleural mesothelioma)に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)+マルチキナーゼ阻害薬であるレンバチニブ(製品名:レンビマ)の併用療法の有効性、安全性を検証した第2相PEMMELA試験(NCT04287829)の結果がNetherlands Cancer InstituteのLi-Anne H Douma氏らにより公表された。
PEMMELA試験は、プラチナ製剤とペメトレキセドによる化学療法後に進行した胸膜中皮腫に対する二次治療、三次治療において、3週を1サイクルとしてペムブロリズマブ200mg+レンバチニブ20mg併用療法を最大2年間投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証した単群単施設の試験である。
本試験に登録された42人の患者背景は、年齢中央値は71歳(IQR;65-75)。性別は男性87%(N=33人)、女性13%(N=5人)であった。
フォローアップ期間中央値17.7ヶ月時点における結果は、治験責任医師の評価によるORRは58%(95%信頼区間:41%-74%,N=22/38人)、また、独立評価委員会の評価によるORRは45%(95%信頼区間:29%-62%,N=17/38人)を示した。
一方の安全性として、治療関連有害事象(TRAE)による死亡が1人の患者で確認され、その内容は心筋梗塞であった。最も多くの患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は、高血圧21%(N=8人)、食欲不振11%(N=4人)、リンパ球減少11%(N=4人)であった。なお、76%(N=29人)の患者でレンバチニブの減量、もしくは投与中止が必要とされた。
以上のPEMMELA試験の結果よりLi-Anne H Douma氏らは「治療歴のある胸膜中皮腫患者に対する抗PD-1抗体薬ペムブロリズマブ+マルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ併用療法は、良好な抗腫瘍効果を示したが、従来の試験同様に強い毒性が見られたため、さらなる検討が必要です」と述べている。
参照元:Pembrolizumab plus lenvatinib in second-line and third-line patients with pleural mesothelioma (PEMMELA): a single-arm phase 2 study(The Lancet Oncology 2023. doi:10.1016/S1470-2045(23)00446-1)