治療歴のあるHER3陽性転移性乳がんに対するパトリツマブ デルクステカン、良好な抗腫瘍効果を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2023.10.10
  • [最終更新日]2023.10.10
この記事の3つのポイント
・複数の治療歴のあるHER3陽性転移性乳がんを対象とした第1/2相のU31402-A-J101試験
・抗HER3抗体薬物複合体パトリツマブ デルクステカンの有効性安全性を比較検証
・良好な安全性プロファイルと持続的な有効性を示す

2023年10月06日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、前治療歴のあるHER3陽性転移性乳がんに対する抗HER3抗体薬物複合体であるパトリツマブ デルクステカン単剤療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のU31402-A-J101試験(NCT02980341)の結果がYale Cancer CenterのIan E. Krop氏らにより公表された。

U31402-A-J101試験は、複数の前治療歴のあるHER3陽性転移性乳がんに対して、3週を1サイクルとしてパトリツマブ デルクステカン1.6-8.0mg/kg単剤を投与し、用量漸増パートでは主要評価項目として最大耐用量(MTD)と安全性を検証した第1/2相試験である。

本試験に登録された182人の患者背景は前治療歴中央値は5レジメンホルモン受容体陽性/HER2陰性患者群(N=113人)の客観的奏効率ORR)は30.1%、無増悪生存期間PFS)の中央値は7.4ヶ月、トリプルネガティブ患者群(N=53人)のORRは22.6%、PFSの中央値は5.5ヶ月を示した。HER2陽性患者群(N=14人)のORRは42.9%、PFSの中央値は11.0ヶ月を示した。なお、奏効はHER3高発現と低発現の両方で確認された。

用量制限毒性DLT)は血小板数減少、アミノトランスフェラーゼ増加が確認された。用量漸増パートにおける主な治療関連有害事象(TRAE)は血液関連毒性、消化器関連毒性であった。グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は71.4%、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率は9.9%を示した。

以上の U31402-A-J101試験の結果よりIan E. Krop氏らは「複数治療歴のあるHER3陽性転移性乳がんに対する抗HER3抗体薬物複合体パトリツマブ デルクステカン単剤療法は、管理可能な安全性プロファイルを示し、持続的な抗腫瘍効果を示した」と結論付けている。

参照元:
Patritumab Deruxtecan (HER3-DXd), a Human Epidermal Growth Factor Receptor 3–Directed Antibody-Drug Conjugate, in Patients With Previously Treated Human Epidermal Growth Factor Receptor 3–Expressing Metastatic Breast Cancer: A Multicenter, Phase I/II Trial(Journal of Clinical Oncology 2023 DOI: 10.1200/JCO.23.00882)

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