治療歴のあるHER2陽性転移性胆道がんに対するツカチニブ+トラスツズマブ、良好な抗腫瘍効果を示す Journal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2023.10.05
  • [最終更新日]2023.10.05
この記事の3つのポイント
HER2陽性の固形がんを対象とした第2相のバスケット試験として実施中のSGNTUC-019試験
・ツカチニブ+トラスツズマブ有効性安全性を検証する試験の胆道がんコホートの結果報告
・ツカチニブ+トラスツズマブが良好な抗腫瘍効果を示す

2023年09月26日、医学誌『 Journal of Clinical Oncology』にて、治療歴のあるHER2陽性固形がんに対するHER2選択的経口チロシンキナーゼ阻害薬であるツカチニブ+抗HER2モノクローナル抗体であるトラスツズマブ(製品名:ハーセプチン併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のSGNTUC-019試験(NCT04579380)の胆道がんコホートの結果が国立がん研究センター東病院の中村能章氏らにより公表された。

SGNTUC-019試験は、治療歴のあるHER2陽性転移性固形がん(N=30人)に対して、21日サイクルでツカチニブ(300mgを1日2回経口投与)とトラスツズマブ(8mg/kgを静脈内投与し、その後6mg/kgを3週間ごとに投与)を併用し、主要評価項目として主治医評価の客観的奏効率ORR)を検証したオープンラベルの第2相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値10.8ヶ月時点における結果、主要評価項目であるORRは46.7%(90%信頼区間:30.8%-63.0%)、病勢コントロール率DCR)は76.7%(90%信頼区間:60.6%-88.5%)を示した。副次評価項目である奏効持続期間(DOR)の中央値は6.0ヶ月(90%信頼区間:5.5-6.9)、無増悪生存期間PFS)の中央値は5.5ヶ月(90%信頼区間:3.9-8.1)を示した。12ヶ月全生存率(OS)は53.6%(90%信頼区間:36.8%-67.8%)であった。

最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は、発熱が43.3%、下痢が40.0%であった。グレード3以上のTRAE発症率は60%(N=18人)、多くの患者で確認されたのは胆管炎、食欲減退、吐き気でいずれも10.0%であった。TRAEによる死亡率は0%、投与中止は1人の患者で確認された。

以上のSGNTUC-019試験の胆道がんコホートの結果より、中村能章氏らは「治療歴のあるHER2陽性転移性胆道がんに対するHER2選択的経口チロシンキナーゼ阻害薬ツカチニブ+抗HER2モノクローナル抗体トラスツズマブ併用療法は、良好な抗腫瘍効果を示し、忍容性も良好でした」と結論付けている。

参照元:
Tucatinib and Trastuzumab for Previously Treated Human Epidermal Growth Factor Receptor 2–Positive Metastatic Biliary Tract Cancer (SGNTUC-019): A Phase II Basket Study(Journal of Clinical Oncology 2023 DOI: 10.1200/JCO.23.00606)

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