転移性膵管腺がんに対するNALIRIFOX療法、全生存期間を有意に改善The Lancetより


  • [公開日]2023.10.04
  • [最終更新日]2023.10.04
この記事の3つのポイント
・未治療の転移性膵管腺がんを対象とした第3相NAPOLI 3試験
・初回治療としてのNALIRIFOX群とnab-パクリタキセル+ゲムシタビンの有効性安全性を比較検証
・NALIRIFOX群が全生存期間を有意に改善

2023年09月11日、医学誌『The Lancet』にて、未治療の転移性膵管腺がんに対するNALIRIFOX(リポソーマルイリノテカンオキサリプラチンロイコボリン+フルオロウラシル)併用療法とnab-パクリタキセル+ゲムシタビン併用療法の有効性、安全性を比較検証したランダム化オープンラベル第3相NAPOLI 3試験(NCT04083235)の結果がUniversity of California Los AngelesのZev A Wainberg氏らにより公表された。

NAPOLI 3試験は、未治療の転移性膵管腺がんに対して、28日を1サイクルとして1、15日目にリポソーマルイリノテカン50mg/m2+オキサリプラチン60mg/m2+ロイコボリン400mg/m2+フルオロウラシル2400mg/m2併用療法を実施する群、もしくは28日を1サイクルとして1、8、15日目にnab-パクリタキセル125mg/m2+ゲムシタビン1000mg/m2併用療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として ITTintention to treat)集団における全生存期間(OS)を比較検証した試験である。

本試験の結果、主要評価項目である ITT集団におけるOSの中央値はNALIRIFOX群の11.1ヶ月(95%信頼区間:10.0-12.1ヶ月)に対してnab-パクリタキセル+ゲムシタビン群で9.2ヶ月(95%信頼区間:8.3-10.6ヶ月)と、NALIRIFOX群で死亡のリスクが17%減少(HR:0.83,95%信頼区間:0.70-0.99,P=0.036)した。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、NALIRIFOX群の87%に対してnab-パクリタキセル+ゲムシタビン群で86%、治療関連有害事象(TRAE)による死亡率はNALIRIFOX群の2%に対してnab-パクリタキセル+ゲムシタビン群で2%を示した。

以上の結果よりZev A Wainberg氏らは、「未治療の転移性膵管腺がんに対するNALIRIFOX療法は、本疾患の治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論付けている。

参照元:
NALIRIFOX versus nab-paclitaxel and gemcitabine in treatment-naive patients with metastatic pancreatic ductal adenocarcinoma (NAPOLI 3): a randomised, open-label, phase 3 trial(The Lancet 2023 DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(23)01366-1)

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