この記事の3つのポイント
・転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象とした第3相のPROpel試験
・初回治療としてのオラパリブ+アビラテロン併用療法の有効性・安全性を検証
・最終解析において全生存期間の有意な改善を認めず
2023年09月11日、医学誌『The Lancet Oncology』にて転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対するPARP阻害薬であるオラパリブ(製品名:リムパーザ)+アンドロゲン受容体(AR)シグナル阻害薬であるアビラテロン(製品名:ザイティガ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のPROpel試験(NCT03732820)の最終解析の結果がCentre Hospitalier de l'Université de MontréalのFred Saad氏らにより公表された。
本試験は、mCRPC患者に対して1日1回アビラテロン1000mg+プレドニゾロン/プレドニゾン+1日2回オラパリブ300mg併用療法を実施する群(N=399人)、もしくは1日1回アビラテロン1000mg+プレドニゾロン/プレドニゾン+プラセボ併用療法を実施する群(N=397人)に無作為に振り分け、主要評価項目として画像診断による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した二重盲検下ランダム化の第3相試験である。
mCRPC患者に対するアビラテロン+オラパリブ併用群は、アビラテロン+プラセボ併用群に比べて画像診断によるPFSを統計学的有意に改善することが、中間解析の結果から示されている。
本最終解析結果では、副次評価項目であるOSの結果が公表された。
フォローアップ期間中央値36.6ヶ月(アビラテロン+オラパリブ併用群)、36.5ヶ月(アビラテロン+プラセボ併用群)時点における結果、OS中央値はアビラテロン+オラパリブ併用群の42.1ヶ月(95%信頼区間:38.4ヶ月-未到達)に対してアビラテロン+プラセボ併用群で34.7ヶ月(95%信頼区間:31.0-39.3ヶ月)と、アビラテロン+オラパリブ併用群で死亡リスクは19%(HR:0.81,95%信頼区間:0.67-1.00,P=0.054)減少したが、統計的有意な差はつかなかった。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3から4の有害事象(AE)は貧血であり、アビラテロン+オラパリブ併用群の16%に対してアビラテロン+プラセボ併用群で3%を示し、重篤な有害事象(SAE)はアビラテロン+オラパリブ併用群の40%に対してアビラテロン+プラセボ併用群で32%を示した。
以上の結果より、Fred Saad氏らは、「mCRPC患者に対するオラパリブ+アビラテロン併用療法は、アビラテロン+プラセボ併用療法に比べてOSを統計学的有意に改善はしませんでした」と結論付けた。
参照元:Olaparib plus abiraterone versus placebo plus abiraterone in metastatic castration-resistant prostate cancer (PROpel)(Lancet Oncol 2023 DOI:https://doi.org/10.1016/S1470-2045(23)00382-0)