この記事の3つのポイント
・治療歴のあるEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんを対象とした第2相HERTHENA-Lung01試験
・抗HER3抗体薬物複合体であるパトリツマブ デルクステカンの有効性・安全性を検証
・脳転移への効果を含む有効な抗腫瘍効果を示す
2023年09月10日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、治療歴のあるEGFR遺伝子変異を有する進行非小細胞肺がんに対する抗HER3抗体薬物複合体であるパトリツマブ デルクステカン(DXd/U3-1402)の有効性、安全性を検証した第2相のHERTHENA-Lung01試験(NCT04619004)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのHelena A. Yu氏らにより公表された。
HERTHENA-Lung01試験は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤およびプラチナ系抗がん剤による前治療歴のあるEGFR遺伝子変異を有する進行非小細胞肺がんに対して、3週を1サイクルとしてパトリツマブ デルクステカン5.6mg/kg単剤を投与し、主要評価項目として盲検化された独立中央委員会(BICR)の客観的奏効率(ORR)を検証した第2相試験である。本試験には合計225人の患者が登録された。
追跡期間中央値18.9(範囲、14.9~27.5)ヶ月時点での結果として、主要評価項目であるORRは29.8%(95%信頼区間:23.9%-36.2%)、奏効持続期間(DOR)中央値は6.4ヶ月、無増悪生存期間(PFS)中央値は5.5ヶ月、全生存期間(OS)中央値は11.9ヶ月を示した。
頭蓋内病変の客観的奏効率は33.3%を示し、奏効の内訳は完全奏効が9人、部分奏効が1人、頭蓋内奏効の奏効期間の中央値は8.4ヶ月を示した。
以上のHERTHENA-Lung01試験の結果よりHelena A. Yu氏らは、「治療歴のあるEGFR遺伝子変異を有する進行非小細胞肺がんに対する三次治療としての抗HER3抗体薬物複合体パトリツマブ デルクステカン(DXd/U3-1402)は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤およびプラチナ系抗がん剤後でも、脳転移を含む持続的な奏効を伴う臨床的に意義のある有効性が示された」と結論を述べた。
HERTHENA-Lung01, a Phase II Trial of Patritumab Deruxtecan (HER3-DXd) in Epidermal Growth Factor Receptor–Mutated Non–Small-Cell Lung Cancer After Epidermal Growth Factor Receptor Tyrosine Kinase Inhibitor Therapy and Platinum-Based Chemotherapy(Journal of Clinical Oncology 2023 DOI: 10.1200/JCO.23.01476)
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