進行性胞巣状軟部肉腫に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク単剤療法、客観的奏効率37%を示すThe New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2023.09.20
  • [最終更新日]2023.09.20
この記事の3つのポイント
・進行性胞巣状軟部肉腫を対象とした第2相試験
免疫チェックポイント阻害剤のひとつである抗PD-L1抗体アテゾリズマブ有効性安全性を検証
・登録された52例中19例で奏効を認める

2023年09月07日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて進行性胞巣状軟部肉腫(ASPS)に対する抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名:テセントリク単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験の結果がNational Cancer InstituteのAlice P. Chen氏らにより公表された。

本試験は、進行性ASPSに対して21日を1サイクルとしてアテゾリズマブ1200mgもしくは15mg/kg単剤を投与し、評価項目として客観的奏効率ORR)、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間PFS)などを検証した多施設共同の単群試験である。

進行性ASPSは確立された治療法がない予後不良な軟部肉腫であるが、近年免疫チェックポイント阻害薬が臨床的効果を示すことが報告されているため、抗PD-L1抗体薬アテゾリズマブの有用性を検証する目的で本試験が開始された。

合計52例の患者が登録され、ORRは37%(19/52)を示し、その内訳は完全奏効(CR)1人、部分奏効(PR)18人であった。奏効までの期間中央値は3.6ヶ月(範囲:2.1-19.1ヶ月)、DORの中央値は24.7ヶ月(範囲:4.1-55.8ヶ月)、PFSの中央値は20.8ヶ月を示した。一方の安全性として、グレード4または5の治療関連有害事象(TRAE)は確認されなかった。

以上の第2相試験の結果より、Alice P. Chen氏らは「進行性胞巣状軟部肉腫(ASPS)に対する抗PD-L1抗体薬アテゾリズマブ単剤療法は、約3分の1人の患者さんに対して良好な抗腫瘍効果を示した」と結論付けている。

参照元:
Atezolizumab for Advanced Alveolar Soft Part Sarcoma(N Engl J Med 2023; 389:911-921 DOI: 10.1056/NEJMoa2303383)

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