国立がん研究センターは8月31日、国内初となる自己脂肪組織由来の培養肪幹細胞を用いた外尿道括約筋の機能再建を目指す臨床試験(jRCTb030220456)を開始したことを発表した。
この臨床試験は、前立腺がんの根治的前立腺全摘後の合併症である腹圧性尿失禁に対する治療法の開発を目的としている。
脂肪幹細胞は、2001年に存在が確認され、容易に採取できることやさまざまな細胞に分化する能力を持っていることから、再生医療への応用が活発に研究されている。
(画像はリリースより)
今回は、患者の皮下脂肪組織から取り出した脂肪幹細胞を細胞加工施設で増やし、再び患者の体に戻す(尿失禁の原因である機能が低下した外尿道括約筋に注入する)。その後、外尿道括約筋の機能向上と尿失禁の症状の改善、そして安全性について1年間検証する。
同方法は、患者から取り出す脂肪組織が少量で済むこと、また体型に関係なく同量かつ大量の脂肪幹細胞の作成が可能なことなどの利点があるという。
国立がん研究センターは、プレスリリースにて「がんの克服を目指し、患者さんのQOLをさらに向上させるための研究開発を進めていきます」とコメントしている。
なお、同臨床試験の目標症例数は10例、予定期間は2025年5月までの予定。
参照元:
国立がん研究センター プレスリリース
あなたは医師ですか。