この記事の3つのポイント
・切除可能なIIIA期またはIIIB期の非小細胞肺がんを対象とした第2相TD-FOREKNOW試験
・術前療法としての化学療法に抗PD-1抗体薬であるカムレリズマブを上乗せすることの有効性・安全性を検証
・化学療法単独と比較して、カムレリズマブと化学療法の併用は病理学的完全奏効率を有意に改善
2023年8月3日、医学誌『JAMA Oncology』にて、切除可能IIIA/IIIB非小細胞肺がんの中国人患者に対する術前療法としてのカムレリズマブ+化学療法併用の有効性、安全性を検証したTD-FOREKNOW試験(NCT04338620)の結果が、The Second Affiliated Hospital of Air Force Medical UniversityのJie Lei氏らにより公表された。
本試験は、切除可能ステージIIIA/IIIB非小細胞肺がんの中国人患者(N=88人)に対する術前療法として、抗PD-1抗体薬であるカムレリズマブ(200㎎)+化学療法(ナブパクリタキセル+プラチナ製剤)を3サイクル実施する群(N=43人)、もしくは化学療法単独を投与する群(N=45人)に無作為に振り分け、主要評価項目として病理学的寛解率(pCR)、副次評価項目としてmajor pathologic response(MPR)、客観的奏効率(ORR)、安全性などを比較検証した試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるpCRは、カムレリズマブ+化学療法併用群の32.6%(N=14/43人,95%信頼区間:19.1%-48.5%)に対して化学療法単独群で8.9%(N=4/45人,95%信頼区間:2.5%-21.2%)を示し、カムレリズマブ+化学療法併用群で改善が認められた(odds ration:4.95,95%信頼区間:1.35-22.37,p=0.008)。
副次評価項目であるMPRは、カムレリズマブ+化学療法併用群の65.1%(95%信頼区間:49.1%-79.0%)に対して、化学療法単独群で15.6%(95%信頼区間:6.5%-29.5%)を示した。ORRは、カムレリズマブ+化学療法併用群の72.1%(95%信頼区間:56.3%-84.7%)に対して、化学療法単独群で53.3%(95%信頼区間:37.9%-68.3%)を示した。
グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)に関しては、白血球数減少はカムレリズマブ+化学療法併用群の14.0%に対して化学療法単独群で4.4%、好中球数減少はカムレリズマブ+化学療法併用群の7.0%に対して化学療法単独群で11.1%であった。なお、治療関連死はいずれの群においても認められていない。
以上の結果よりJie Lei氏らは、「切除可能なIIIA/IIIB期の非小細胞肺がんにおいて、化学療法単独群と比較して、カムレリズマブと化学療法の併用は、管理可能な毒性でpCR率を有意に改善することが明らかになった」と結論付けている。
Neoadjuvant Camrelizumab Plus Platinum-Based Chemotherapy vs Chemotherapy Alone for Chinese Patients With Resectable Stage IIIA or IIIB (T3N2) Non–Small Cell Lung Cancer (JAMA Oncol 2023. doi:10.1001/jamaoncol.2023.2751)
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