早期非小細胞肺がんに対する術前+術後療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ+化学療法、無イベント生存期間を有意に延長N Engl J Med より


  • [公開日]2023.08.16
  • [最終更新日]2023.08.16
この記事の3つのポイント
・早期非小細胞肺がんを対象とした第3相KEYNOTE-671試験
・術前・術後療法としての抗PD-1抗体薬ペムブロリズマブ有効性安全性を比較検証
・ペムブロリズマブにより無イベント生存期間が有意に延長

2023年08月10日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて早期非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前+術後療法としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のMK-3475-671/​KEYNOTE-671試験(NCT03425643)の結果がStanford MedicineのHeather Wakelee氏らにより公表された。

MK-3475-671/​KEYNOTE-671試験は、II-IIIB(N2)期の早期非小細胞肺がんに対し、術前療法としてペムブロリズマブ200mgを3週1サイクルシスプラチンベースの化学療法を最大4サイクル実施し、術後療法としてペムブロリズマブ200mgを3週1サイクルで最大13サイクル実施する群(N=397人)、もしくは3週1サイクルとしてプラセボ+シスプラチンベースの化学療法を最大4サイクル実施し、術後療法としてプラセボ療法を3週1サイクルとして最大13サイクル実施する群(N=400人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無イベント生存期間(EFS)、全生存期間OS)、副次評価項目としてmajor pathological response(MPR)、pathological complete response(pCR)、安全性などを比較検証した二重盲検下ランダム化の第3相試験である。

本試験の初回解析の結果、主要評価項目である24ヶ月EFSはペムブロリズマブ群の62.4%に対してプラセボ群で40.6%と、ペムブロリズマブ群で再発、進行、死亡等のイベント発生のリスクを42%統計学的有意に改善した(HR:0.58,95%信頼区間:0.46-0.72,P<0.001)。もう1つの主要評価項目である24ヶ月OSは、ペムブロリズマブ群の80.9%に対してプラセボ群で77.6%と、ペムブロリズマブ群で死亡リスクを改善するも統計学的有意な差は確認されなかった(P=0.02)。

副次評価項目であるMPRは、ペムブロリズマブ群の30.2%に対してプラセボ群で11.0%と、ペムブロリズマブ群で19.2%高率であった(95%信頼区間:13.9%-24.7%,P<0.0001)。また、pCRはペムブロリズマブ群の18.1%に対してプラセボ群で4.0%と、ペムブロリズマブ群で14.2%高率であった(95%信頼区間:10.1%-18.7%,P<0.0001)。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、ペムブロリズマブ群の44.9%に対してプラセボ群で37.3%を示した。なお、グレード5の治療関連有害事象(TRAE)発症率はペムブロリズマブ群の1.0%に対してプラセボ群で0.8%であった。

以上のMK-3475-671/​KEYNOTE-671試験の結果よりHeather Wakelee氏らは、「早期非小細胞肺がんに対する術前+術後療法としての抗PD-1抗体薬」+化学療法は、EFS、MPR、pCRを改善しましたが、OSは両群間で統計学的有意な改善は示しませんでした」と結論付けた。

Perioperative Pembrolizumab for Early-Stage Non–Small-Cell Lung Cancer (N Engl J Med 2023; 389:491-503 DOI: 10.1056/NEJMoa2302983)

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