局所進行性直腸がんに対する術前FOLFOX療法、化学放射線療法と同等の効果を示すThe New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2023.07.31
  • [最終更新日]2023.07.31
この記事の3つのポイント
・局所進行性直腸がんを対象とした第2/3相PROSPECT試験
・術前FOLFOX療法の勇往性を、標準療法である化学放射線療法と比較した非劣勢試験
・術前FOLFOX療法が化学放射線療法と同等の効果を示した

2023年7月27日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて局所進行性直腸がんに対する術前化学療法、術前化学放射線療法の有効性安全性を比較検証した第2/3相のPROSPECT試験(NCT01515787)の結果がDana-Farber Cancer InstituteのDeborah Schrag氏らにより公表された。

PROSPECT試験は、局所進行性(T2リンパ節転移陽性,T3リンパ節転移陰性,括約筋温存手術適応のあるT3リンパ節転移陽性)直腸がん患者に対する術前療法としてFOLFOX療法を投与する群、もしくは化学放射線療法を投与する群に分け、主要評価項目として無病生存期間DFS)の非劣性、副次評価項目として全生存期間(OS)、局所再発期間(local recurrence)、完全奏効率(CR)、安全性などを比較検証した多施設共同ランダム化の第2/3相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値58ヶ月時点における結果、主要評価項目であDFSはFOLFOX療法、化学放射線療法療法で非劣性が示された(HR:0.92,90.2%信頼区間:0.74-1.14,P=0.005)。5年DFSはFOLFOX療法群の80.8%(95%信頼区間:77.9%-83.7%)に対して化学放射線療法群で78.6%(95%信頼区間:75.4%-81.8%)を示した。

副次評価項目であるOSはFOLFOX療法、化学放射線療法療法で同等(HR:1.04,95%信頼区間:0.74-1.44)、局所再発もFOLFOX療法、化学放射線療法療法で同等(HR:1.18,95%信頼区間:0.44-3.16)であった。

以上のPROSPECT試験の結果よりDeborah Schrag氏らは、「局所進行性直腸がん患者に対する術前化学療法は、無病生存期間(DFS)は現在の標準治療である術前化学放射線療法に対して非劣性を示しました」と結論を述べている。

Preoperative Treatment of Locally Advanced Rectal Cancer (N Engl J Med 2023; 389:322-334. DOI: 10.1056/NEJMoa2303269)

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