この記事の3つのポイント
・進行卵巣がんを対象とした多施設共同無作為化二重盲検第3PRIMA試験
・PARP阻害薬のニラパリブによる維持療法の有効性、安全性を検証
・ニラパリブ維持療法によりPFSが有意に改善
2023年07月13日、医学誌『JAMA Oncology』にて進行卵巣がんに対する維持療法としてのPARP阻害薬であるニラパリブ(商品名ゼジューラ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のPRIME試験(NCT03709316)の結果がChinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical CollegeのNing Li氏らにより公表された。
PRIMA試験は、初回治療としてプラチナ製剤ベースの化学療法による治療後の進行卵巣がんに対する維持療法として、ニラパリブ単剤を投与する群、もしくはプラセボを投与する群に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として独立中央判定による無増悪生存期間(PFS)を比較検証した多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照の第3相試験である。
本試験に登録された384人の患者背景は、年齢中央値がニラパリブ群の53歳(32-77歳)に対してプラセボ群で54歳(33-77歳)。
主要評価項目である全患者群における独立中央判定によるPFSの中央値は、ニラパリブ群の24.8ヶ月に対してプラセボ群で8.3ヶ月と、プラセボ群に比べてニラパリブ群で病勢進行または死亡のリスクが55%(HR:0.45,95%信頼区間:0.34-0.60,P<0.001)減少した。
また、germline BRCA遺伝子変異群ではニラパリブ群の未到達に対してプラセボ群で10.8ヶ月(HR:0.40,95%信頼区間:0.34-0.60)、germline BRCA遺伝子陰性群ではニラパリブ群の19.3ヶ月に対してプラセボ群で8.3ヶ月(HR:0.48,95%信頼区間:0.34-0.67)を示した。
相同組換え修復(HRR)遺伝子deficient群ではニラパリブ群で未到達に対してプラセボ群で11.8ヶ月(HR:0.48,95%信頼区間:0.34-0.68)、相同組換え修復(HRR)遺伝子proficient群ではニラパリブ群で16.6ヶ月に対してプラセボ群で5.5ヶ月(HR:0.41,95%信頼区間:0.22-0.75)を示した。
以上のPRIMA試験の結果よりNing Li氏らは、「進行卵巣がん患者に対する維持療法としてのPARP阻害薬ニラパリブ単剤療法は、無増悪生存期間(PFS)を改善しました」と結論を述べている。
Treatment With Niraparib Maintenance Therapy in Patients With Newly Diagnosed Advanced Ovarian Cancer(JAMA Oncol. 2023. doi:10.1001/jamaoncol.2023.2283)あなたは医師ですか。