SLFN11陽性進展型小細胞肺がんに対する維持治療としてのテセントリク+タラゾパリブ併用療法、無増悪生存期間を有意に改善ASCO2023


  • [公開日]2023.07.13
  • [最終更新日]2023.07.11
この記事の3つのポイント
・SLFN11陽性進展型小細胞肺がんを対象とした第2相SWOG S1929試験
・抗PD-L1抗体薬アテゾリズマブPARP阻害薬タラゾパリブ併用療法有効性安全性を検証
・アテゾリズマブ+タラゾパリブ併用療法が、PFSを有意に改善

2023年6月2日~6日、米国シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2023)にて、SLFN11陽性進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する維持治療として、抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名:テセントリク単剤療法、アテゾリズマブ+PARP阻害薬タラゾパリブ併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のSWOG S1929試験(NCT04334941)の結果が、Inova Schar Cancer InstituteのNagla Fawzy Abdel Karim氏らにより公表された。

SWOG S1929試験は、SLFN11陽性ES-SCLCに対する維持治療として、アテゾリズマブ単剤を投与する群、もしくはアテゾリズマブ+タラゾパリブ併用療法を実施する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)、全生存期間OS)、安全性を比較検証した第2相試験である。

本試験に登録された106人の患者背景は、年齢中央値が67歳(45-84歳)、女性が48%(N=51人)、白人89%(N=94人)、PerformanceStatusスコア0-1が96%(N=102人)であった。

主要評価項目であるPFSの中央値は、アテゾリズマブ単剤群の2.8ヶ月(80%信頼区間:2.0-2.9ヶ月)に対してアテゾリズマブ+タラゾパリブ併用群で4.2ヶ月(80%信頼区間:2.8-4.7ヶ月)とアテゾリズマブ+タラゾパリブ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクが30%(HR:0.70,80%信頼区間:0.52-0.94,P=0.056)統計学的有意に改善した。

副次評価項目であるOSの中央値は、アテゾリズマブ単剤群の8.5ヶ月(80%信頼区間:7.4-12.7ヶ月)に対してアテゾリズマブ+タラゾパリブ併用群で9.4ヶ月(80%信頼区間:8.1-14.2ヶ月)を示した。ORRは、アテゾリズマブ単剤群の16% (80%信頼区間:8-27%)に対してアテゾリズマブ+タラゾパリブ併用群で12% (80%信頼区間:5-22%)を示した。

一方の安全性として、グレード3以上の非血液治療関連有害事象(TRAE)発症率はアテゾリズマブ単剤群の13%に対してアテゾリズマブ+Talazoparibタラゾパリブ併用群で15%、グレード3以上の血液治療関連有害事象(TRAE)発症率はアテゾリズマブ単剤群の4%に対してアテゾリズマブ+タラゾパリブ併用群で0%を示した。なお、グレード5の有害事象(AE)は両群間で確認されなかった。

以上のSWOG S1929試験の結果よりI、Nagla Fawzy Abdel Karim氏らは、「SLFN11陽性ES-SCLCに対する維持治療としての抗PD-L1抗体薬アテゾリズマブ+PARP阻害薬タラゾパリブ併用療法は、アテゾリズマブ単剤療法に比べてPFSを統計学的有意に改善しましたが、血液関連有害事象(AE)は併用群で増加しました」と結論付けた。

SWOG S1929: Phase II randomized study of maintenance atezolizumab (A) versus atezolizumab + talazoparib (AT) in patients with SLFN11 positive extensive stage small cell lung cancer (ES-SCLC)(ASCO 2023 Abst#8504)

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