この記事の3つのポイント
・治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫を対象とした第1/2相試験
・抗BCMA抗CD3二重特異性抗体であるlinvoseltamab単剤療法の有効性、安全性を検証
・linvoseltamab 200mgの単剤療法が有効性を示した
2023年6月2日~6日、米国シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2023)にて、治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対する抗BCMA抗CD3二重特異性抗体であるlinvoseltamab単剤療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT03761108)の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのHans C. Lee氏らにより公表された。
本試験は、3レジメン以上の治療歴のあるRRMMに対して、linvoseltamab単剤を50mg(N=104人)もしくは200mg(N=75人)投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、重要な副次評価項目として奏効持続期間(DOR)を検証した第1/2相試験である。
本試験に登録された252人(第1相73人、第2相179人)の患者背景は、年齢中央値が66歳、髄外形質細胞腫を有する症例12%。ハイリスク遺伝子異常を有する症例12%。BMPC(bone marrow plasma cell)≥50%の症例37%。前治療歴中央値は5レジメン(1-16レジメン)、3剤に抵抗性を示した患者率81%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目であるORRは、linvoseltamab単剤療法50mg群の50%に対して200mg群で64%と、200mg群で良好であった。サブグループ解析のORRは、sBCMA(soluble BCMA concentration)≥0.4 mg/Lの集団において、linvoseltamab単剤療法50mg群の37%に対して200mg群で52%、BMPC>67%の集団においてlinvoseltamab単剤療法50mg群の35%に対して200mg群で64%、3期においてlinvoseltamab単剤療法50mg群の27%に対して200mg群71%を示した。重要な副次評価項目である奏効持続期間(DOR)は両群間で未到達であった。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はlinvoseltamab単剤療法50mg群の100%(グレード3以上は66%)に対してlinvoseltamab単剤療法200mg群で95%(グレード3以上は80%)を示した。最も多かった治療関連有害事象(TRAE)は、サイトカイン放出症候群(CRS)がlinvoseltamab単剤療法50mg群の53%に対して200mg群で37%、倦怠感が33%対32%、貧血が40%対28%であった。治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率は、linvoseltamab単剤療法50mg群の8%に対して200mg群で7%を示した。
以上の第1/2相試験の結果よりHans C. Lee氏らは、「3レジメン以上の治療歴のあるRRMM患者に対する抗BCMA抗CD3二重特異性抗体Linvoseltamab単剤療法200mgは、ハイリスク患者も含め有効性を示しました」と結論を述べている。
LINKER-MM1 study: Linvoseltamab (REGN5458) in patients with relapsed/refractory multiple myeloma(ASCO 2023 Abst#8006)あなたは医師ですか。