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HER2陽性進行大腸がんに対するエンハーツ単剤療法、有効性示す

[公開日] 2023.06.29[最終更新日] 2023.06.29

この記事の3つのポイント ・HER2過剰発現/遺伝子増幅進行結腸直腸がんに対する第2相試験 ・トラスツズマブ・デルクステカンの有効性・安全性を検証 ・トラスツズマブ・デルクステカンは5.4mg/kgと6.4mg/kgの療法の検討用量において有効性を示す
2023年6月2日~6日、米国シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2023)にて、HER2陽性進行性結腸直腸がんに対する抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(T-Dxd, 商品名:エンハーツ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のDESTINY-CRC02試験(NCT04744831)の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのKanwal Pratap Singh Raghav氏らにより公表された。 DESTINY-CRC02試験は、HER2過剰発現/遺伝子増幅進行結腸直腸がんに対して、3週を1サイクルとしてHER2に対するADCであるT-Dxdを5.4mg/kg投与する群(N=82人)、6.4mg/kgを投与する群(N=40人)に分けて、主要評価項目として盲検独立中央判定(BICR)による客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などを検証した多施設共同の第2相試験である。 本試験のフォローアップ期間中央値8.9ヶ月(5.4mg/kg群)、10.3ヶ月(6.4mg/kg群)時点における結果として、主要評価項目であるORRは5.4mg/kg群の37.8%(95%信頼区間:27.3%-49.2%)に対して6.4mg/kg群で27.5%(95%信頼区間:14.6%-43.9%)を示した。 副次評価項目であるDOR中央値は、5.4mg/kg群の5.5ヶ月(95%信頼区間:4.2-8.1ヶ月)に対して6.4mg/kg群で5.5ヶ月(95%信頼区間:3.7ヶ月-未到達)、DOR中央値は5.4mg/kg群の5.8ヶ月(95%信頼区間:4.6-7.0ヶ月)に対して6.4mg/kg群で5.5ヶ月(95%信頼区間:4.2-7.0ヶ月)を示した。 一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は5.4mg/kg群の49.4%(N=41/83人)に対して6.4mg/kg群で59.0%(N=23/39人)、重篤な有害事象(SAE)発症率は5.4mg/kg群の24.1%(N=20/83人)に対して6.4mg/kg群で30.8%(N=12/39人)をそれぞれ示した。薬剤性間質性肺炎の発症率は5.4mg/kg群の8.4%(N=7/83人)に対して6.4mg/kg群で12.8%(N=5/39人)を示し、発症した薬剤性間質性肺炎の大半はグレード1もしくは2程度であった。 以上のDESTINY-CRC02試験の結果を受けてKanwal Pratap Singh Raghav氏らは「HER2陽性進行性/転移性大腸がん患者に対するHER2に対する抗体薬物複合体(ADC)T-Dxd単剤療法は、リスクとベネフィットのバランスから、5.4mg/kgが最適な投与量であることを示している」と結論を述べた。 Trastuzumab deruxtecan (T-DXd) in patients (pts) with HER2-overexpressing/amplified (HER2+) metastatic colorectal cancer (mCRC): Primary results from the multicenter, randomized, phase 2 DESTINY-CRC02 study(ASCO 2023 Abst#3501
ニュース 大腸がん ADC

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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