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胃がんまたは食道胃接合部がんに対する術後療法としてのオプジーボ+化学療法、無再発生存期間を改善せず

[公開日] 2023.06.26[最終更新日] 2023.06.26

この記事の3つのポイント ・病理的分類III期の胃がんまたは食道胃接合部がんを対象とした第3相試験 ・術後療法としてのニボルマブ+化学療法の有効性と安全性の検証 ・ニボルマブ+化学療法は化学療法単独と比較して無増悪生存期間を改善せず
2023年6月2日~6日、米国・シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2023)にて、病理的分類III期の胃がんまたは食道胃接合部がんに対する術後療法としての抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のATTRACTION-5試験(NCT03006705)の結果が静岡がんセンターの寺島雅典氏らにより公表された。 ATTRACTION-5試験とは、病理学的分類III期の胃がんまたは食道胃接合部がんに対して、術後補助化学療法(テガフール/ギメラシル/オテラシル[S-1]療法またはカペシタビン+オキサリプラチン[CapeOX]療法)を実施後、抗PD-1抗体薬ニボルマブ+化学療法、もしくはプラセボ+化学療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として中央判定による無再発生存期間(RFS)、副次評価項目として実施医療機関の医師判定に基づく無再発生存期間(RFS)、全生存期間(OS)を比較検証した多施設共同無作為化二重盲検第3相臨床試験である。 ニボルマブ+化学療法は、切除不能進行性/再発胃がんまたは食道胃接合部がんに対する初回治療、および3次治療以降のニボルマブ単剤療法において、既にOSを改善する可能性が示唆されている。一方で、胃がんまたは食道胃接合部がんにおける術後の標準治療は化学療法であるが、その治療効果は限定的である。以上の背景より、進行性/再発胃がんまたは食道胃接合部がんに対する術後療法としてのニボルマブの有用性を検証する目的で本試験が開始された。 本試験の追跡期間中央値36ヶ月時点において、主要評価項目である中央判定のRFSは、プラセボ+化学療法群とニボルマブ+化学療法群で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.90,95.72%信頼区間:0.69-1.18,P=0.4363)。3年RFSはニボルマブ+化学療法群の68.4%(95%信頼区間:63.0%–73.2%)に対してプラセボ+化学療法群で65.3%(95%信頼区間:59.9%–70.2%)を示した。 一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)、重篤なTRAE、中止に至ったTRAEの発生率は、ニボルマブ+化学療法群でそれぞれ54.4%、25.3%、9.2%、プラセボ+化学療法群で46.8%、10.7%、3.5%であった。 以上のATTRACTION-5試験の結果より寺島氏らは「病理学的分類III期の胃がんまたは食道胃接合部がん患者に対する術後療法としての抗PD-1抗体薬ニボルマブ+化学療法は、プラセボ+化学療法に比べて無再発生存期間(RFS)を統計学的有意に改善しませんでした」と結論付けた。 ATTRACTION-5: A phase 3 study of nivolumab plus chemotherapy as postoperative adjuvant treatment for pathological stage III (pStage III) gastric or gastroesophageal junction (G/GEJ) cancer.(ASCO 2023 Abst#4000)
ニュース 胃がん NCT03006705

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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