国立がん研究センター中央病院は6月22日、超希少疾患である類上皮肉腫を対象に、東北、関東、中部、九州の全国4施設の多施設共同で医師主導治験を実施することを発表した。
この試験は、局所進行・再発類上皮肉腫患者を対象に、ヒストンメチル基転移酵素の一種、EZH(enhancer of zeste homolog)2に対する選択的かつ可逆的な低分子阻害薬であるE7438(タゼメトスタット、製品名:タズベリク)単独療法の有効性を検証する、多施設共同第2相医師主導治験(試験略称: TAZETTA)である。
類上皮肉腫は、前腕から手の浅層に多く発症する稀な肉腫であり、手術以外の有効性が高い薬物療法がないのが現状である。また、超希少疾患であることから企業による治療開発も進まないという課題がある。
EZH2阻害薬であるタゼメトスタットは、海外での臨床試験において類上皮肉腫に対する有効性が報告されており、日本人での有効性を検証する目的で同試験を開始している。
今回の試験は、超希少がんでの治療開発モデルの構築を目的とした、希少がんの研究開発・ゲノム医療を産学共同で推進する「MASTER KEYプロジェクト」の一環として行われ、類上皮肉腫では初国内となるEZH2阻害薬の薬事承認を目指す。
なお、一般的な治験は、対象年齢が18歳もしくは20歳以上とされることが多いが、同試験は類上皮肉腫の特性を踏まえ、対象年齢を16歳以上として計画したという。
国立がんセンターはプレスリリースにて、「本試験を、希少がんの中でも極めて少ない超希少ながん腫で成功させることにより、超希少がんの臨床試験計画や新薬開発手法の新たなモデル構築となり、わが国の希少がん領域における臨床開発の活性化に貢献できるものと考えます」と述べている。
参照元:
国立がん研究センター プレスリリース
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