この記事の3つのポイント
・II-IIIB期の非小細胞肺がんを対象とした無作為化二重盲検第3相試験
・術前・術後療法としてのペムブロリズマブの有効性と安全性を検証
・術前療法としてのペムブロリズマブ+化学療法と術後療法としてのペムブロリズマブ療法は、術前化学療法のみと比較して、無イベント生存期間を有意に改善
2023年6月3日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて、早期非小細胞肺がん患者に対する術前・術後療法としての抗P‐11抗体薬であるペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-671試験(NCT03425643)の結果がStanford UniversityのHeather Wakelee氏らにより公表された。
本試験は、II-IIIB期非小細胞肺がん患者に対する術前療法として3週を1サイクルとしてペムブロリズマブ200mg+シスプラチンベースの化学療法を4サイクル実施し、術後療法として3週を1サイクルとしてペムブロリズマブ200mg単剤療法を最大13サイクル実施する群、もしくはプラセボ+シスプラチンベースの化学療法を4サイクル実施し、術後療法として3週を1サイクルとしてプラセボ療法を最大13サイクル実施群に1対1の割合で無作為に割り付け、無イベント生存期間(EFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として病理学的奏効率(Major Pathological Response:MPR)、病理学的完全奏効率(Pathological Complete Response:PCR)、安全性などを比較検証した試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値25.2ヶ月時点における結果、主要評価項目である24ヶ月EFSはペムブロリズマブ群の62.4%に対してプラセボ群で40.6%と、ペムブロリズマブ群で病勢進行、再発、死亡(のリスクが42%(HR:0.58,95%信頼区間:0.46-0.72,P<0.001)減少した。もう1つの主要評価項目である24ヶ月OSはペムブロリズマブ群の80.9%に対してプラセボ群で77.6%と、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(P=0.02)。
副次評価項目であるMPRは、ペムブロリズマブ群の30.2%に対してプラセボ群で11.0%と、ペムブロリズマブ群で19.2%(95%信頼区間:13.9%-24.7%、P<0.0001)の改善を示した。pCRは、ペムブロリズマブ群の18.1%に対してプラセボ群で4.0%をそれぞれ示した。
安全性に関しては、ペムブロリズマブ群の44.9%、プラセボ群の37.3%にそれぞれグレード3以上の治療関連有害事象が発生し、そのうちグレード5の事象が発生したのはそれぞれ1.0%と0.8%であった。
以上のKEYNOTE-671試験の結果より、Heather Wakelee氏らは、「早期非小細胞肺がん患者に対する術前・療法、術後療法としてのペムブロリズマブは、術前化学療法単独に比べてEFS、MPR、pCRを改善しました。一方、今回の解析では、OSは統計学的有意な差は確認されませんでした」と結論を述べている。
Perioperative Pembrolizumab for Early-Stage Non–Small-Cell Lung Cancer(N Engl J Med 2023; DOI: 10.1056/NEJMoa2302983)
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