この記事の3つのポイント
・再発/進行子宮体がんを対象とした第3相試験
・初回治療のカルボプラチン+パクリタキセルにドスタリマブを併用することによる有効性と安全性を検証
・ドスタルリマブを併用することで、無増悪生存期間および全生存期間が有意に改善
2023年6月8日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて、再発/進行性子宮体がんに対する抗PD-1抗体薬であるドスタルリマブ+カルボプラチン+パクリタキセル併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のRUBY試験(NCT03981796)の結果がCopenhagen University HospitalのMansoor Raza Mirza氏らにより公表された。
RUBY試験は、原発性III/IV期または初回再発の子宮体がんにおいて、カルボプラチン+パクリタキセルによる標準化学療法に、抗PD-1抗体であるドスタルリマブ(500mg)またはプラセボを3週ごとに6サイクル静脈内投与した後、ドスタルリマブ(1,000mg)またはプラセボを単独で6週ごとに最長3年間投与する群に1対1の割合で無作為に割り付け、有効性・安全性を比較検証した国際多施設共同二重盲検無作為化第3相試験である。主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を設定している。
なお、本試験に登録された494人の患者のうち、ミスマッチ修復機構欠損(dMMR)、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する患者は23.9%(N=118人)含まれている。
本試験の結果、ミスマッチ修復機構欠損(dMMR)のある患者、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)の患者群における24ヶ月無増悪生存率(PFS)はドスタリマブ併用群の61.4%(95%信頼区間:46.3%-73.4%)に対してプラセボ群で15.7%(95%信頼区間:7.2%-27.0%)と、ドスタリマブ併用群で病勢進行または死亡のリスクが72%(HR:0.28,95%信頼区間:0.16-0.50,P<0.001)減少した。
全患者群における24ヶ月無増悪生存率(PFS)はドスタリマブ併用群の36.1%(95%信頼区間:29.3%-42.9%)に対してプラセボ群で18.1%(95%信頼区間:13.0%-23.9%)と、ドスタリマブ併用群で病勢進行または死亡のリスクが36%(HR:0.64,95%信頼区間:0.51-0.80,P<0.001)減少した。24ヵ月時の全生存率は、ドスタリマブ併用群の71.3%(95%信頼区間:64.5%-77.1%)に対してプラセボ群で56.0%(95%信頼区間:48.9%-62.5%)、ドスタリマブ併用群で死亡のリスクが36%(HR:0.64,95%信頼区間:0.46-0.87)減少した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)としては、吐き気がドスタリマブ併用群の53.9%に対してプラセボ群で45.9%、脱毛症が53.5%に対して50.0%、倦怠感が51.9%に対して54.5%であった。
以上のRUBY試験の結果よりMansoor Raza Mirza氏らは、「再発/進行性子宮体がん患者に対する抗PD-1抗体薬ドスタリマブ+カルボプラチン+パクリタキセル併用療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました」と結論を述べている。
Dostarlimab for Primary Advanced or Recurrent Endometrial Cancer(N Engl J Med 2023;388:2145-2158 DOI: 10.1056/NEJMoa2216334)あなたは医師ですか。