この記事の3つのポイント
・III/IV期または再発子宮体がんを対象とした第3相試験
・標準治療としての初回化学療法へのペムブロリズマブ追加療法の有効性と安全性を検証
・化学療法単独と比較して、ペムブロリズマブ追加により無増悪生存期間が有意に改善
2023年6月3日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて、再発/進行性子宮体がん患者に対する初回化学療法への抗PD‐1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)追加療法の有効性、安全性を比較検証した無作為化盲検プラセボ対照第3相NRG-GY018試験(NCT03914612)の結果がUniversity of California San DiegoのRamez N. Eskander氏らにより公表された。
NRG-GY018試験は、測定可能なIII、IVA、IVB期または再発子宮体がん(N=816人)に対する初回治療として、3週を1サイクルとしてペムブロリズマブ+パクリタキセル+カルボプラチン併用療法を6サイクル実施し、維持療法として6週を1サイクルとしてペムブロリズマブ単剤療法を最大14サイクル実施する群、もしくは3週を1サイクルとしてプラセボ+パクリタキセル+カルボプラチン併用療法を6サイクル実施し、維持療法として6週を1サイクルとしてプラセボ単剤療法を最大14サイクル実施する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第3相試験である。なお、ミスマッチ修復機構欠損(dMMR)のある患者、ミスマッチ修復機構欠損ない患者(pMMR)ので分けて解析している。
本試験の結果、dMMR患者群の12ヶ月無増悪生存率(PFS)はペムブロリズマブ併用群の74%に対してプラセボ群で38%と、ペムブロリズマブ併用により病勢進行または死亡のリスクが70%減少した(HR:0.30,95%信頼区間:0.19-0.48,P<0.001)。
pMMR患者群の無増悪生存期間(PFS)はペムブロリズマブ群の13.1ヶ月に対してプラセボ群で8.7ヶ月と、ペムブロリズマブ併用により病勢進行または死亡(PFS)のリスクが46%減少した(HR:0.54,95%信頼区間:0.41-0.71,P<0.001)。
以上のNRG-GY018試験の結果から、Ramez N. Eskander氏らは「再発/進行性子宮体がん患者に対するに対する初回治療としての標準化学療法への抗PD‐1抗体薬ペムブロリズマブの追加療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました」と結論を述べている。
Pembrolizumab plus Chemotherapy in Advanced Endometrial Cancer(N Engl J Med 2023; 388:2159-2170 DOI: 10.1056/NEJMoa2302312)
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