東レ株式会社は6月12日、膵がんの診断補助を使用目的とした体外診断用医薬品「東レAPOA2-iTQ」について、6月8日に厚生労働省から製造販売承認を取得したことを発表した。
同製品は、血漿中のアポリポ蛋白A2(APOA2)の2種類のアイソフォーム(アミノ酸配列は異なるが機能は同じタンパク質)の濃度を測定する国内で初めての承認品目。膵がんの診断の補助を使用目的とし、保険収載され次第国内販売を開始する予定。
開発の背景には、日本医科大学大学院医学研究科 本田一文大学院教授(前国立研究開発法人国立がん研究センター研究所早期診断バイオマーカー開発部門長)により、2種類のAPOA2アイソフォームの量比が膵がん患者の血液中で変化することを発見した研究成果がある。
これを受けて東レは、日本医科大学および国立がん研究センターとの共同研究の実施ならびに国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究成果の活用により、2種類のAPOA2アイソフォームの構造の異なる部分をそれぞれ特異的に認識する抗体を独自に取得し、その抗体を使って2種類のAPOA2アイソフォーム濃度を高精度に測定する検査薬を開発した。
同製品は、これまで早期発見が難しいとされてきた膵がんの新しい検査を提供するものであり、東レはプレスリリースの中で、「本品による検査方法は、血液を用いるため、より多くの方々が受診しやすい検査です。既存の腫瘍マーカーとは異なる物質を測定することから、既存の腫瘍マーカーでは検出できなかった膵がん患者を検出できることが期待されます」と述べている。
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東レ株式会社 ニュースルーム
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