英アストラゼネカ社は5月17日、局所進行(IIIB~IIIC期)または転移性(IV期)上皮増殖因子受容体(EGFR)変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象にしたFLAURA2試験(NCT04035486)において、タグリッソ(一般名:オシメルチニブ)と化学療法との併用療法が、タグリッソ単剤療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意に改善を示したと発表した。
世界で肺がんと診断される患者は年間220万人と推定されており、そのうち80~85%がNSCLCであり、さらにその約70%が進行がんと診断されている。また、欧米ではおよそ10~15%、アジアでは30~40%のNSCLCの患者がEGFR遺伝子変異を有している。タグリッソは現在、EGFR変異陽性NSCLCに一次治療として局所進行または転移性EGFR変異陽性NSCLC、局所進行または転移性EGFR T790M遺伝子変異陽性NSCLC、および早期(IB、IIおよびIIIA)EGFR変異陽性NSCLCの術後補助療法として、米国、EU、中国および日本を含む100カ国以上で使われている。
今回の発表に関して、アストラゼネカ社のオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるSusan Galbraith氏は、プレスリリースにて「今回のFLAURA2試験の素晴らしい結果は、タグリッソの一次治療を受ける患者さんに対して、病勢進行なく生存できる期間の延長に繋がる新しい治療選択肢となる可能性を示しています。これは、EGFR変異陽性NSCLCにおける本剤の臨床的ベネフィットの拡大を示してきた、一連の試験に基づく大変意義のある結果です」と述べている。
また、同社はプレスリリースの中で、「FLAURA2試験の結果は、EGFR遺伝子変異陽性進行肺がんの1次治療における標準治療であるタグリッソ単剤のベネフィットを基盤とした新たな治療オプションの可能性を裏付けた」と結論付けている。
なお、今回の試験においては、タグリッソと化学療法との併用療法における安全性と有害事象による投与中止の割合は、各薬剤の確立されたプロファイルと一貫していた。また、本解析時点では、全生存期間(OS)についてはイベント数が不十分であったため、今後の解析時に評価するという。これらの詳しいデータは、近く開催される医学学会で発表される予定。
タグリッソとは
タグリッソ(一般名:オシメルチニブ)は第3世代不可逆的EGFR阻害剤であり、進行期だけでなく早期の肺がんにも焦点を当てた開発が行われている。また、早期および進行期において中枢神経系(CNS)転移への臨床活性が証明されている。
参照元:
アストラゼネカ株式会社 プレスリリース
あなたは医師ですか。