ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は5月18日、赤血球成熟促進薬であるルスパテルセプトについて、低リスク骨髄異形成症候群(MDS)に伴う貧血に対する適応症の取得を目的として、日本国内における製造販売承認申請を行ったと発表した。
ルスパテルセプトは、MDSに伴う貧血の治療における新規作用機序を有する治療薬で、2022年9月21日に希少疾病用医薬品に指定されている。今回の承認申請は、国際予後判定システム改訂版(IPSS-R)によるリスク分類がVery low、LowまたはIntermediateのMDS患者を対象とした国内第2相試験(MDS-003試験)、国際共同第3相試験(COMMANDS試験)および海外第Ⅲ相試験(MEDALIST試験)の結果にもとづいている。
MDSは、正常な赤血球、白血球、血小板を十分に生成することができなくなることで貧血や感染症を起こす可能性のある一連の血液がんのグループであり、MDSの疾患の経過とともに約80~90%の患者が貧血を発症する。貧血を呈するMDS患者の多くは、正常な赤血球の循環量を確保するために定期的に輸血が必要となるが、頻繁な輸血によって鉄過剰症、輸血反応、輸血血液からの感染など多くのリスクにさらされ、生存率を低下につながることも報告されている。
日本におけるMDSの罹患率は、厚生労働省による2020年の患者数調査において約22,000人と報告されてるが、現在MDSに伴う貧血に使用できる薬剤は非常に限られており、より幅広い患者に使用可能な新しい貧血治療薬が望まれている。
同社研究開発本部長の杉田真氏は、プレスリリースにて「これまで、MDSに伴う貧血の基本的な支持療法は輸血でした。また、国内ではMDSに伴う貧血の治療選択肢も限られていました。今回、低リスクMDSに伴う貧血の治療薬として、ルスパテルセプトの承認申請を提出できたことを大変嬉しく思います。ルスパテルセプトが、低リスクMDS患者さんにとって、有効な新しい治療選択肢となることを願っています」と述べている。
ルスパテルセプトについて
ルスパテルセプト(製品名:Reblozyl)は、2023年4月時点で、β-サラセミアに伴う貧血の治療、または赤血球造血刺激因子製剤(ESA)に不応もしくは不耐容または不適格で赤血球輸血が必要な低リスクの環状鉄芽球を伴う骨髄異形成症候群(MDS-RS)に伴う貧血の治療に対して、米国や欧州等の国で承認されています。
参照元:
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 プレスリリース
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