ホルモン受容体陽性HER2陽性早期乳がんに対する術前療法としてのパクリタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法、病理学的寛完全奏効(pCR)を改善JAMA Oncologyより


  • [公開日]2023.05.18
  • [最終更新日]2023.05.18
この記事の3つのポイント
ホルモン受容体陽性HER2陽性早期乳がんを対象とした第2相試験
・術前療法としてのエストロゲン療法+抗HER2モノクローナル抗体トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法
 パクリタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法の有効性安全性を比較検証
・パクリタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法で病理学的完全奏効pCR)を改善

2023年5月11日、医学誌『JAMA Oncology』にてホルモン受容体陽性HER2陽性早期乳がんに対する術前療法としてのエストロゲン療法+抗HER2モノクローナル抗体薬であるトラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法、パクリタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法の有効性、安全性を比較検証したThe WSG-TP-II試験(NCT03272477)の結果がWest German Study GroupのOleg Gluz氏らにより公表された。

The WSG-TP-II試験は、ホルモン受容体陽性HER2陽性早期乳がん患者(N=207人)に対する術前療法としてエストロゲン療法(アロマターゼ阻害薬、もしくはタモキシフェン)+トラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)+ペルツズマブ(製品名:パージェタ)併用療法を実施する群(N=100人)、もしくはパクリタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法を実施する群(N=107人)に無作為に振り分け、主要評価項目として病理学的寛解完全奏効率(pCR;定義ypT0/is、ypN0)、副次評価項目として安全性、QOLなどを検証した多施設共同前向きランダム化の試験である。

本試験に登録された207人の患者背景は下記の通りはである。年齢中央値は53歳(25-83歳)、腫瘍ステージはcT2~cT4は58%(N=121人)、リンパ節転移陽性28%(N=58人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

主要評価項目である病理学的奏効率(pCR)はエストロゲン療法+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用群で23.7%(95%信頼区間:15.7%-33.4%)に対してパクリタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用群で56.4%(95%信頼区間:46.2%-66.3%)、オッズ比0.24(95%信頼区間:0.12-0.46,p<0.001)を示した。

以上のThe WSG-TP-II試験の結果よりWest German Study Group・Oleg Gluz氏らは、「ホルモン受容体陽性HER2陽性早期乳がん患者に対する術前療法として、パクリタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法は、エストロゲン療法+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法に比べて病理学的寛完全奏効(pCR)を改善しました」と結論を述べている。

Pertuzumab vs De-escalated Chemotherapy in Patients with Hormone Receptor–Positive/ERBB2-Positive Early Breast Cancer(JAMA Oncology 2023; DOI: doi:10.1001/jamaoncol.2023.0646)

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