進行性慢性リンパ性白血病に対する一次治療としてのベネクレクスタ+ガザイバ併用療法、微小残存病変陰性率、3年無増悪生存率を改善ーThe New England Journal of Medicineよりー


  • [公開日]2023.05.16
  • [最終更新日]2023.05.16
この記事の3つのポイント
・TP53異常のない進行性リンパ性白血病の適合患者が対象の第3相試験
・ベネトクラクス+リツキシマブ併用療法、ベネトクラクス+オビヌツズマブ併用療法、
 ベネクレクスタ+オビヌツズマブ+イブルチニブ併用療法の有効性安全性を化学免疫療法と比較検証
・ベネクレクスタ+オビヌツズマブ併用療法はイブルチニブの追加投与の有無に関わらず有用性が高いことを確認

2023年5月11日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて合併症のない進行性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する一次治療としてBCL-2阻害薬であるベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ)+抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ併用療法、ベネクレクスタ+抗CD20モノクローナル抗体であるオビヌツズマブ(商品名:ガザイバ)併用療法、ベネクレクスタ+ガザイバ+イブルチニブ(商品名:イムブルビカ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験(NCT02950051)の結果がBarbara Eichhorst氏らにより公表された。

本試験は、合併症のないFitな進行性慢性リンパ性白血病(CLL)患者(N=926人)に対するファーストライン治療として化学免疫療法(フルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ併用療法、ベンダムスチン+リツキシマブ併用療法)を6サイクル投与する群(N=229人)、もしくはベネクレクスタ+リツキシマブ併用療法を12サイクル投与する群(N=237人)、もしくはベネクレクスタ+ガザイバ併用療法を12サイクル投与する群(N=229人)、もしくはベネクレクスタ+ガザイバ+イムブルビカ併用療法を12サイクル投与する群(N=231人)に1対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として治療開始15ヶ月時点の微小残存病変陰性率(MRD)、無増悪生存期間PFS)を比較検証した第3相試験である。

本試験の結果、治療開始15ヶ月時点の微小残存病変陰性率(MRD)は、化学免疫療法群の52.0%(97.5%信頼区間:44.4-59.5%)に対してベネクレクスタ+ガザイバ併用群で86.5%(97.5%信頼区間:80.6-91.1%)、ベネクレクスタ+ガザイバ+イムブルビカ併用群で92.2%(97.5%信頼区間:87.3-95.7%)を示し、化学免疫療法群に比べてベネクレクスタ+ガザイバ併用群、ベネクレクスタ+ガザイバ+イムブルビカ併用群で微小残存病変陰性率(MRD)を統計学的有意に改善した(P<0.001)。一方、ベネクレクスタ+リツキシマブ併用群は、化学免疫療法群に比べて統計学的有意な改善は確認されなかった。

もう1つの主要評価項目である3年無増悪生存率(PFS)は、化学免疫療法群の75.5%に対してベネクレクスタ+ガザイバ+イムブルビカ併用群で90.5%、ベネクレクスタ+ガザイバ併用群で87.7%と、化学免疫療法群に比べてベネクレクスタ+ガザイバ+イムブルビカ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを68%(HR:0.32,97.5%信頼区間:0.19-0.54,P<0.001)、ベネクレクスタ+ガザイバ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを58%(HR:0.42,97.5%信頼区間:0.26-0.68,P<0.001)改善した。一方、ベネクレクスタ+リツキシマブ併用群の3年無増悪生存率(PFS)は80.8%を示し、化学免疫療法群に比べて統計学的有意な改善は確認されなかった。

一方の安全性として、グレード3もしくは4の感染症発症率は化学免疫療法群の18.5%に対してベネクレクスタ+リツキシマブ併用群で10.5%、ベネクレクスタ+ガザイバ併用群で13.2%、ベネクレクスタ+ガザイバ+イムブルビカ併用群で21.2%を示した。

以上の第3相試験の結果よりBarbara Eichhorst氏らは「進行性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するファーストライン治療としてのBCL-2阻害薬ベネクレクスタ+ガザイバ併用療法は、イムブルビカの追加投与の有無に関わらず有用性が高い治療方法であることが確認されました」と結論を述べている。

First-Line Venetoclax Combinations in Chronic Lymphocytic Leukemia(N Engl J Med 2023; 388:1739-1754 DOI: 10.1056/NEJMoa2213093)

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  • [最終更新日]2023.05.16
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・ベネトクラクス+リツキシマブ併用療法、ベネトクラクス+オビヌツズマブ併用療法、
 ベネクレクスタ+オビヌツズマブ+イブルチニブ併用療法の有効性安全性を化学免疫療法と比較検証
・ベネクレクスタ+オビヌツズマブ併用療法はイブルチニブの追加投与の有無に関わらず有用性が高いことを確認

2023年5月11日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて合併症のない進行性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する一次治療としてBCL-2阻害薬であるベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ)+抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ併用療法、ベネクレクスタ+抗CD20モノクローナル抗体であるオビヌツズマブ(商品名:ガザイバ)併用療法、ベネクレクスタ+ガザイバ+イブルチニブ(商品名:イムブルビカ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験(NCT02950051)の結果がBarbara Eichhorst氏らにより公表された。

本試験は、合併症のないFitな進行性慢性リンパ性白血病(CLL)患者(N=926人)に対するファーストライン治療として化学免疫療法(フルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ併用療法、ベンダムスチン+リツキシマブ併用療法)を6サイクル投与する群(N=229人)、もしくはベネクレクスタ+リツキシマブ併用療法を12サイクル投与する群(N=237人)、もしくはベネクレクスタ+ガザイバ併用療法を12サイクル投与する群(N=229人)、もしくはベネクレクスタ+ガザイバ+イムブルビカ併用療法を12サイクル投与する群(N=231人)に1対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として治療開始15ヶ月時点の微小残存病変陰性率(MRD)、無増悪生存期間PFS)を比較検証した第3相試験である。

本試験の結果、治療開始15ヶ月時点の微小残存病変陰性率(MRD)は、化学免疫療法群の52.0%(97.5%信頼区間:44.4-59.5%)に対してベネクレクスタ+ガザイバ併用群で86.5%(97.5%信頼区間:80.6-91.1%)、ベネクレクスタ+ガザイバ+イムブルビカ併用群で92.2%(97.5%信頼区間:87.3-95.7%)を示し、化学免疫療法群に比べてベネクレクスタ+ガザイバ併用群、ベネクレクスタ+ガザイバ+イムブルビカ併用群で微小残存病変陰性率(MRD)を統計学的有意に改善した(P<0.001)。一方、ベネクレクスタ+リツキシマブ併用群は、化学免疫療法群に比べて統計学的有意な改善は確認されなかった。

もう1つの主要評価項目である3年無増悪生存率(PFS)は、化学免疫療法群の75.5%に対してベネクレクスタ+ガザイバ+イムブルビカ併用群で90.5%、ベネクレクスタ+ガザイバ併用群で87.7%と、化学免疫療法群に比べてベネクレクスタ+ガザイバ+イムブルビカ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを68%(HR:0.32,97.5%信頼区間:0.19-0.54,P<0.001)、ベネクレクスタ+ガザイバ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを58%(HR:0.42,97.5%信頼区間:0.26-0.68,P<0.001)改善した。一方、ベネクレクスタ+リツキシマブ併用群の3年無増悪生存率(PFS)は80.8%を示し、化学免疫療法群に比べて統計学的有意な改善は確認されなかった。

一方の安全性として、グレード3もしくは4の感染症発症率は化学免疫療法群の18.5%に対してベネクレクスタ+リツキシマブ併用群で10.5%、ベネクレクスタ+ガザイバ併用群で13.2%、ベネクレクスタ+ガザイバ+イムブルビカ併用群で21.2%を示した。

以上の第3相試験の結果よりBarbara Eichhorst氏らは「進行性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するファーストライン治療としてのBCL-2阻害薬ベネクレクスタ+ガザイバ併用療法は、イムブルビカの追加投与の有無に関わらず有用性が高い治療方法であることが確認されました」と結論を述べている。

First-Line Venetoclax Combinations in Chronic Lymphocytic Leukemia(N Engl J Med 2023; 388:1739-1754 DOI: 10.1056/NEJMoa2213093)

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