この記事の3つのポイント
・非転移性ホルモン感受性前立腺がんを対象とした第3相試験
・3つの投与群(エンザルタミド+リュープロレリン、リュープロレリン単剤群、エンザルタミド単剤群)の有効性・安全性を検証
・エンザルタミド+リュープロレリン併用群とエンザルタミド単剤群の両群において、無転移生存期間(MFS)が改善
2023年5月8日、アステラス製薬のプレスリリースにて生化学的再発(Biochemical Recurrence)リスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がん(nmHSPC)、もしくは非転移性去勢感受性前立腺がん(nmCSPC)患者に対する経口アンドロゲン受容体阻害剤であるエンザルタミド(商品名;イクスタンジ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のEMBARK試験の結果が公表された。
EMBARK試験は、生化学的再発(Biochemical Recurrence)リスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がん(nmHSPC)、もしくは非転移性去勢感受性前立腺がん(nmCSPC)患者に対してイクスタンジ+リュープロレリン(製品名:リュープリン)併用療法を投与する群(N=355人)、プラセボ+リュープリン併用療法を投与する群(N=358人)、イクスタンジ単剤療法を投与する群(N=355人)に無作為に振り分け、主要評価項目としてプラセボ+リュープリン併用群に対するイクスタンジ+リュープリン併用群に対する無転移生存期間(MFS)を比較検証した第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無転移生存期間(MFS)は、プラセボ+リュープリン併用群に比べてイクスタンジ+リュープリン併用群で病勢の進行または死亡のリスク(MFS)を58%低減した(HR=0.42,95%信頼区間:0.30-0.61,P<0.0001)。
副次評価項目である無転移生存期間(MFS)は、プラセボ+リュープリン併用群に比べてイクスタンジ単剤群で病勢の進行または死亡のリスク(MFS)を37%低減した(HR=0.63,95%信頼区間:0.46-0.87,P=0.0049)。
前立腺特異抗原(PSA)増悪までの期間および新しい抗腫瘍治療の開始までの期間は、イクスタンジ+リュープリン併用群、イクスタンジ単剤群で統計学有意な改善が確認された。PSA増悪までの期間は、プラセボ+リュープリン併用群に比べてイクスタンジ+リュープリン併用群で93%(HR=0.07,95%信頼区間:0.03-0.14,P<0.0001)、プラセボ+リュープリン併用群に比べてイクスタンジ単剤群で67%(HR=0.33,95%信頼区間:0.23-0.49,P<0.0001)のリスクの低減が確認された。
新しい抗腫瘍治療の開始までの期間に関しては、プラセボ+リュープリン併用群に比べてイクスタンジ+リュープリン併用群で64%(HR=0.36,95%信頼区間:0.26-0.49,P<0.0001)、プラセボ+リュープリン併用群に比べてイクスタンジ単剤群で46%(HR=0.54,95%信頼区間:0.41-0.71,P<0.0001)の増悪のリスクの低減が確認された。全生存期間(OS)のデータは未成熟であるが、イクスタンジ+リュープリン併用群で改善傾向が確認された。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は、イクスタンジ+リュープリン併用群で疲労、ほてり、関節痛、イクスタンジ単剤群で疲労、女性化乳房、関節痛であり、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなく、既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致されていた。
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