治療歴のある転移性大腸がんに対するロンサーフ+ベバシズマブ併用療法、全生存期間(OS)を改善ーThe New England Journal of Medicineよりー


  • [公開日]2023.05.12
  • [最終更新日]2023.05.16
この記事の3つのポイント
転移性大腸がんの治療で過去に最大2種類の化学療法による治療歴がある成人患者を対象とした第3相試験
・FTD-TPI単剤と比較したFTD-TPIとベバシズマブ併用療法有効性安全性を検証
・転移性大腸がん患者において、FTD-TPIとベバシズマブの併用療法は、FTD-TPI単独治療よりも全生存期間を優位に延長

2023年5月4日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて2レジメン以下の治療歴を持つ転移性大腸がん患者に対するトリフルリジン/チピラシル塩酸塩配合剤(製品名:ロンサーフ)+ベバシズマブ(製品名:アバスチン)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のSUNLIGHT試験(NCT04737187/EudraCT number:2020-001976-14)の結果がGerald W. Prager氏らにより公表された。

SUNLIGHT試験は、2レジメン以下の治療歴のある転移性大腸がん患者に対して、ロンサーフ35mg/m2を1日2回、5日間連続経口投与したのち2日間休薬する治療を、2回繰り返したのち14日間休薬する治療群(N=246人)と、この治療の1日目と15日目にアバスチンを併用する治療群(N=246人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)を比較検証した国際多施設共同ランダム化オープンラベルの第3相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)の中央値は、ロンサーフ+アバスチン併用群の10.8ヶ月に対して、ロンサーフ単剤群で7.5ヶ月となり、ロンサーフ+アバスチン併用群で死亡リスクを39%(HR:0.61,95%信頼区間:0.49-0.77,P<0.001)減少させた。

副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値は、ロンサーフ+アバスチン併用群の5.6ヶ月に対してロンサーフ単剤群で2.4ヶ月となり、ロンサーフ+アバスチン併用群で病勢進行または死亡のリスクを56%(HR:0.44,95%信頼区間:0.36-0.54,P<0.001)減少させた。

一方の安全性として、両群で最も多くの患者に確認された治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症、吐き気、貧血であった。なお、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は報告されていない。

以上のSUNLIGHT試験の結果よりGerald W. Prager氏らは「2レジメン以下の治療歴を持つ転移性大腸がん患者に対して、ロンサーフ単剤療法に比べてロンサーフ+アバスチン併用療法で全生存期間(OS)を改善しました」と結論を述べている。

Trifluridine–Tipiracil and Bevacizumab in Refractory Metastatic Colorectal Cancer(N Engl J Med 2023; 388:1657-1667 DOI: 10.1056/NEJMoa2214963)

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