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KMT2A再構成陽性の急性リンパ芽球性白血病の乳児に対する化学療法への追加投与としてのビーリンサイト、安全性を確認

[公開日] 2023.05.01[最終更新日] 2023.05.01

この記事の3つのポイント ・KMT2A再構成陽性の急性リンパ芽球性白血病の乳児が対象の臨床試験 ・化学療法後のビーリンサイト単剤療法の有効性・安全性を検証 ・ビーリンサイトの治療に関連した治療中止、死亡に至る有害事象は発生せず

4月27日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にてKMT2A陽性の急性リンパ芽球性白血病(KMT2A-R ALL)の乳児に対する化学療法への追加投与としての抗悪性腫瘍剤/二重特異性抗体薬であるビーリンサイト(一般名:ブリナツモマブ、以下ビーリンサイト)単剤療法の有効性、安全性を検証した試験の結果がthe Princess Máxima Center for Pediatric OncologyのInge M. van der Sluis氏らにより公表された。

本試験は、KMT2A陽性の急性リンパ芽球性白血病(KMT2A-R ALL)と診断された1歳未満の患者(N=30人)に対して化学療法を投与後、ビーリンサイトを体表面積当たり15μg/日28日間連続注入し、主要評価項目としてビーリンサイト治療に関連した有害事象(TRAE:ビーリンサイトの有害事象による治療中止、死亡として定義)を検証した試験である。

本試験が開始された背景として、乳幼児のKMT2A再構成のある急性リンパ性白血病(KMT2A-R ALL)の3年無イベント生存率は40%を下回り、診断より1年以内で3分の2の患者、2年以内で90%の患者が再発する。以上のように乳幼児のKMT2A陽性の急性リンパ芽球性白血病(KMT2A-R ALL)は予後が不要であるにも関わらず、ここ数十年間治療成績が向上していない。以上の背景より、本試験が開始された。

本試験のフォローアップ期間中央値26.3ヶ月(範囲:3.9~48.2ヶ月)時点における結果、主要評価項目で定義されたビーリンサイトの治療に関連した治療中止、死亡に至る有害事象(TRAE)は発生しなかった。重篤な有害事象(SAE)発症率は発熱4人、感染症4人、高血圧1人、嘔吐1人の患者で確認された。

2年無病生存率は過去のInterfant-06試験で49.4%(95%信頼区間:42.5~56.0%)に対して、本試験では81.6%(95%信頼区間:60.8~92.0%)を示した。

以上の試験における結果、Inge M. van der Sluis氏らは「KMT2A陽性の急性リンパ芽球性白血病(KMT2A-R ALL)乳児患者に対する化学療法への追加投与としての抗悪性腫瘍剤/二重特異性抗体薬ビーリンサイトは、過去の臨床試験のデータに比べて高率な無病生存率を示し、安全性も良好でした」と結論を述べている。

Blinatumomab Added to Chemotherapy in Infant Lymphoblastic Leukemia(N Engl J Med. 2023 Apr 27;388(17):1572-1581. doi: 10.1056/NEJMoa2214171.)
ニュース 白血病 KMT2A

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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