4月16日、スイス・ロシュ社はプレスリリースにて、根治を目的とした外科手術もしくは焼灼療法後に再発高リスクの肝細胞がん(HCC)患者に対する抗PD-L1抗体薬であるテセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)+血管新生阻害薬であるアバスチン(一般名:ベバシズマブ、以下アバスチン)の有効性と安全性を検証した第3相IMbrave050試験の最新データを発表した。
IMbrave050試験は、根治を目的とした外科的切除もしくは焼灼療法後に再発高リスクの肝細胞がん(HCC)患者(N=668人)を対象に、3週間ごとにテセントリク1200mg+アバスチン15mg/kgを最大1年間もしくは17サイクル投与する群と、経過観察を行う群に振り分け、主要評価項目として無再発生存期間(RFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)やPD-L1陽性患者における無再発生存期間(RFS)などを比較検証した第3相試験である。
本試験が開始された背景として、肝細胞がんは早期で診断された場合、原発巣の切除手術が一般的であるが、約70~80%が手術後に再発を経験するといわれている。また、早期再発は予後不良と生存期間の短縮と関連することが報告されている。そのため、再発を予防し、生存率を向上させるための治療が求められている。そこで、肝細胞がんの術後補助療法としてのテセントリク+アバスチン併用療法の有用性が検証された。
フォローアップ期間中央値17.4ヶ月における主要評価項目である無再発生存期間は、テセントリク+アバスチン併用群が経過観察群に対して、再発リスクを28%減少させた(HR:0.72、95%信頼区間:0.56-0.93、p=0.0120)。副次評価項目である全生存期間(OS)は未到達であった。
一方の安全性として、テセントリク+アバスチン併用療法の安全性プロファイルは、各治療で確立されたもの、および基礎疾患によるものと同様であった。
以上のIMbrave050試験の結果より、ロシュ社のChief Medical Officer兼Head of Global Product Development のLevi Garraway氏は、「切除不能な肝細胞がんにテセントリク+アバスチン併用療法がすでに標準療法となっていますが、それに続く可能性が示唆できたことをうれしく思うとともに、今後のデータを楽しみにしています」と述べている。
参照元:F. Hoffmann-La Roche Ltd. Releases