4月17日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は、「2つ以上の前治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫」を適応症として、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法であるアベクマ点滴静注(一般名:イデカブタゲン ビクルユーセル、以下アベクマ)の適応追加承認を申請したと発表した。
多発性骨髄腫に対する治療法は、近年大きく進歩しているが、初回治療で奏効を示してもその後再発を繰り返し、最終的に難治性に移行するといわれている。多発性骨髄腫に対する主な薬物療法は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬、抗CD38モノクローナル抗体であるが、それらを受けた再発/難治性の多発性骨髄腫の予後は不良であり、治療選択肢は限定的である。さらに、近年、抗CD38抗体と免疫調整薬もしくはプロテアソーム阻害剤との併用療法を使用する頻度も増えているため、再発時の治療選択はより限定される。そこで、再発/難治性の多発性骨髄腫患者に対して高い有効性が期待される新規作用機序を有する治療薬が必要とされている。
今回の承認申請は、国際共同第3相KarMMa-3試験(BB2121-MM-003試験)の中間解析の結果に基づくもの。KarMMa-3試験では、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体を含む2~4レジメンの治療歴を有し、直近の治療に抵抗性を示した再発/難治性の多発性骨髄腫患者に対して、アベクマを投与した際の有効性と安全性を標準レジメンと比較検証した。
ブリストル・マイヤーズ スクイブの研究開発本部長である杉田真氏は、プレスリリースにて「弊社では、深刻な病気を抱える日本の患者さんにいち早く新たな治療選択肢をお届けするため、開発中のほぼすべての国際共同臨床試験に参加し、グローバルで同時開発、同時申請を行っています。今回のアベクマの承認申請についても、米国および欧州との同時申請を達成できたことを嬉しく思います。日本においても2つ以上の前治療歴を有する再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さんに、より早期に、そして米国や欧州から遅れることなく、CAR T細胞療法という選択肢を提供できるようになることを期待しています」と述べている。
多発性骨髄腫とは 多発性骨髄腫は、血液がんのひとつであり、B細胞から分化した形質細胞ががん化して出来た骨髄腫細胞が骨髄で増殖する疾患。正常な形質細胞は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物から体を守るための抗体を生成するが、骨髄腫細胞になると異物に対する攻撃能力を持たないMタンパクを産生し続ける。骨髄腫細胞やMタンパクの増加に伴い造血障害や腎臓障害、溶骨製病変などの多彩な臨床症状を呈する。
アベクマとは アベクマは、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞免疫療法である。骨髄腫細胞の表面に発現しているBCMAにアベクマが結合するとCAR T細胞が増殖し、サイトカインを放出するためにBCMA発現細胞が融解・殺傷される。
参照元:ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 プレスリリース