3月31日、医学誌『The Lancet Oncology』にて免疫療法による治療歴のある局所進行性/転移性明細胞腎細胞がん患者に対するHIF-2α阻害薬であるベルズチファン+マルチキナーゼ阻害薬であるカボザンチニブ併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT03634540)の結果がDana-Farber Cancer InstituteのToni K Choueiri氏らにより公表された。
本試験は、免疫療法による治療歴のある局所進行性/転移性明細胞腎細胞がん患者(N=52人)に対して1日1回ベルズチファン120mg+1日1回カボザンチニブ60mg併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで実施し、主要評価項目として主治医評価による客観的奏効率(ORR)を検証したオープンラベルシングルアームの第2相試験である。
本試験が開始された背景として、未治療の進行性腎細胞がん患者に対しては抗PD-1抗体薬であるニボルマブ+マルチキナーゼ阻害薬カボザンチニブ併用療法がスニチニブ単剤療法に比べて無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善することが第3相のCheckMate 9ER試験により示されている。しかしながら、抗PD-1抗体薬、抗PD-L1抗体薬をはじめとした免疫療法に治療抵抗性を示した進行性腎細胞がん患者の治療選択肢は限られている。以上の背景より本試験が開始された。(参考:Lancet Oncol. 2022 Jul;23(7):888-898. doi: 10.1016/S1470-2045(22)00290-X. Epub 2022 Jun 7.)
本試験のフォローアップ期間中央値24.6ヶ月時点における結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は30.8%(95%信頼区間:18.7-45.1%)を示し、そのうち2%(N=1人)の患者で完全奏効(CR)、29%(N=15人)の患者で部分奏効(PR)が確認された。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は高血圧が27%、重篤な有害事象(SAE)発症率は29%の患者で確認された。
以上の第2相試験の結果より、Toni K Choueiri氏らは「免疫療法による治療歴のある局所進行性/転移性明細胞腎細胞がん患者に対するHIF-2α阻害薬であるベルズチファン+マルチキナーゼ阻害薬であるカボザンチニブ併用療法は、有望な抗腫瘍活性を示しました」と結論を述べている。
Belzutifan plus cabozantinib for patients with advanced clear cell renal cell carcinoma previously treated with immunotherapy: an open-label, single-arm, phase 2 study(Lancet Oncol. 2023 Mar 31;S1470-2045(23)00097-9. doi: 10.1016/S1470-2045(23)00097-9.)